外国人を採用したいけど、「どの在留資格が必要なのか」「申請手続きはどれほど複雑なのか」と迷っている企業担当者は少なくありません。

厚生労働省の調査によると、2023年10月末時点の外国人労働者数は約204万人と過去最高を更新しました。深刻な人手不足が続く中で、外国人採用は製造業・介護・建設・飲食など幅広い業種で現実的な選択肢として定着しつつあります。

この記事では、外国人採用をはじめて検討する企業の人事担当者・経営者向けに、就労可能な在留資格の種類・採用手続きの流れ・費用の目安・法的注意点・採用成功のポイントを体系的に解説します。複雑に見えても、正しい手順を踏めばスムーズに進められます。

外国人採用の現状:深刻な人手不足と外国人材活用の広がり

日本の労働市場は、少子高齢化による生産年齢人口の急減という構造的課題に直面しています。介護・建設・農業・宿泊など特定の業種では、国内労働者だけでは必要な人員を確保できない状況が常態化しています。

厚生労働省の発表によると、外国人労働者を雇用している事業所数は2023年10月末時点で318,775か所に達し、前年比約8%増加しました。特定技能在留外国人数は2024年6月末時点で249,636人となり、2019年の制度創設から5年で急速に普及しています。

外国人採用が進む主な業種

  • 介護・福祉:高齢化による慢性的な人手不足で外国人材活用が急拡大
  • 製造業:特定技能制度の活用で即戦力人材の確保が可能
  • 建設業:技能実習からの移行を含めた長期就労が増加
  • 飲食・宿泊:サービス業での外国人比率が年々上昇
  • 農業:季節労働・通年雇用の両面で外国人材が不可欠に

外国人採用を検討するうえで、外国人労働者受入れの現状を把握しておくと、業界全体の動向と自社の位置づけを整理しやすくなります。

採用できる在留資格の種類と選び方

外国人が日本で働くためには、職種・業務内容に対応した在留資格が必要です。在留資格の種類が多く迷いがちですが、採用職種ごとに対応する資格が決まっているため、最初に確認するのが効率的です。

主な就労系在留資格の比較

特定技能1号

  • 主な対象業務: 特定16産業分野の現場業務
  • 在留期間(上限): 通算5年
  • 家族帯同: 不可
  • 転職: 可(同業種)

特定技能2号

  • 主な対象業務: 特定産業分野(11分野)
  • 在留期間(上限): 上限なし(更新制)
  • 家族帯同: 可
  • 転職: 可

技術・人文知識・国際業務

  • 主な対象業務: IT・経理・翻訳など専門職
  • 在留期間(上限): 最長5年
  • 家族帯同: 可
  • 転職: 可

高度専門職1号

  • 主な対象業務: ポイント制高度人材
  • 在留期間(上限): 最長5年
  • 家族帯同: 可
  • 転職: 条件付き

技能

  • 主な対象業務: 外国料理・溶接などの熟練技能
  • 在留期間(上限): 最長5年
  • 家族帯同: 可
  • 転職: 条件付き

職種別:どの在留資格を選ぶべきか

在留資格の選択は、採用する職種と応募者の学歴・職歴・経験の組み合わせで決まります。

  • 現場職・サービス業など特定16産業分野の業務には「特定技能」が活用できます
  • ITエンジニア・経理・営業・通訳などホワイトカラー職種には「技術・人文知識・国際業務」が一般的です
  • 高度専門職はポイント制で、要件を満たすと永住要件の緩和など優遇措置があります
  • 留学生のアルバイト採用なら資格外活動許可(週28時間以内)が必要です

特定技能の対象業種の詳細は、特定技能の対象業種一覧で確認できます。在留資格全体の解説は在留資格の種類一覧もあわせてご覧ください。

外国人採用の手続きと流れ:7つのステップ

外国人採用の手続きには、日本人採用にはない在留資格の確認・申請というプロセスが加わります。在留資格の変更が必要な場合、内定から就業開始まで1か月から3か月かかるケースが多いため、余裕をもったスケジュールで進めることが重要です。

ステップ1:採用要件と対象在留資格の確認

採用したい職種・業務内容を明確にし、対応する在留資格を特定します。在留資格によって従事できる業務範囲が異なるため、求人票の作成前に必ず確認してください。

ステップ2:募集・求人活動

ハローワーク、外国人専門求人サイト、人材紹介会社、SNSなどを通じて候補者を募集します。外国人採用に強い人材紹介会社を利用すると、在留資格の事前確認やマッチングをスムーズに進められます。

ステップ3:書類選考・在留資格の確認

履歴書・職務経歴書の選考と並行して、在留カードで現在の在留資格・期限・就労可能な活動範囲を確認します。「資格外活動許可」を持つ留学生を採用する場合は、週28時間以内の就労制限がある点に注意が必要です。

ステップ4:面接・採用判断

業務スキル・日本語能力(特定技能はN4相当以上が目安)・就労意欲・職場適応力を総合的に評価します。面接時に労働条件・業務内容・職場環境を丁寧に説明し、双方の認識のずれを防ぎましょう。

ステップ5:内定・雇用条件の書面明示

内定後は労働条件通知書を発行します。外国人労働者に対しても、労働基準法に基づく書面での労働条件の明示が義務です。賃金・労働時間・休日・退職事由などを明記してください。

ステップ6:在留資格の申請・変更

現在の在留資格が対応していない場合は、出入国在留管理庁に申請します。海外から招聘する場合は「在留資格認定証明書」の申請が必要で、許可まで通常1か月から3か月かかります。申請書類の不備があると期間がさらに延びるため、行政書士への依頼も有効な選択肢です。

ステップ7:入社・受入れ体制の整備

入社後は市区町村への転入届・社会保険加入・銀行口座開設のサポートが必要です。ハローワークへの外国人雇用状況の届出(翌月10日まで)は法律上の義務なので、忘れずに対応してください。

採用手続きのより詳しい解説は、外国人採用の流れを徹底解説もあわせてご参照ください。

外国人採用にかかる費用の目安

外国人採用に特有のコストを事前に把握し、予算計画に組み込むことが重要です。

費用の種類別まとめ

在留資格変更申請手数料

  • 金額の目安: 4,000円(認定証明書は無料)
  • 発生タイミング: 申請時

行政書士への代行費用

  • 金額の目安: 3万〜10万円程度
  • 発生タイミング: 書類作成時

人材紹介会社の成功報酬

  • 金額の目安: 年収の20〜35%
  • 発生タイミング: 内定成立時のみ

登録支援機関への委託費

  • 金額の目安: 月額1.5万〜3万円
  • 発生タイミング: 特定技能1号採用時

在留資格申請にかかる費用

出入国在留管理庁への申請手数料は在留資格変更許可で4,000円、在留資格認定証明書の交付申請は無料です。ただし行政書士に書類作成を依頼する場合は代行費として3万円から10万円程度が相場です。

人材紹介会社への手数料

人材紹介会社を利用した場合、採用成立時に年収の20〜35%程度の成功報酬が一般的です。採用が成立するまで費用が発生しないため、採用活動開始時の初期投資はゼロです。

ユアブライトの外国人人材紹介サービスは、初期費用・運用費用すべて0円の完全成功報酬型です。17万人以上の外国人材データベースから、業種・条件に合った即戦力人材をご紹介します。

登録支援機関への委託費用

特定技能1号の外国人を採用する場合、支援計画の策定・実施が受入れ企業に義務付けられています。この業務を登録支援機関に委託する費用は月額1万5千円から3万円程度が相場です。自社対応が難しい場合、専門機関への委託がコンプライアンスと定着率の両面で有効です。

外国人採用の法的注意点:義務と罰則を正しく理解する

外国人採用では、日本人採用と比べて遵守すべき法的要件が追加されます。見落とすと企業に重大なリスクが生じる項目を確認してください。

採用前後に確認すべきチェックリスト

  • [ ] 在留カードで在留資格の種類・期限・就労可否を確認した
  • [ ] 在留資格が採用職種に対応しているか確認した
  • [ ] 労働条件通知書を書面で発行した
  • [ ] 地域の最低賃金以上の賃金を設定している
  • [ ] ハローワークへの外国人雇用状況届出を翌月10日までに行う予定である
  • [ ] 特定技能1号の場合は支援計画を策定・実施する体制が整っている

在留資格の確認義務と不法就労助長罪

採用時に在留カードを確認し、在留資格の種類・期限・就労可否を把握することが必須です。在留資格のない外国人を雇用したり、許可された活動範囲外の業務に従事させた場合、雇用主は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が適用される可能性があります。「知らなかった」では免責されません。

外国人雇用状況の届出義務

外国人労働者を雇入れ・離職させた際は、ハローワークへの届出が義務付けられています。雇用保険被保険者の場合は「資格取得・喪失届」に国籍等を記載し、雇用保険対象外の場合は「外国人雇用状況届出書」を提出します。提出期限は翌月10日で、未届けの場合は30万円以下の罰金が科せられることがあります。

均等待遇の原則

外国人労働者に対しても、日本人と同等の労働条件を適用しなければなりません。国籍を理由とした不合理な賃金格差や昇進機会の制限は労働基準法違反となります。地域の最低賃金を下回る賃金設定も厳禁です。

特定技能固有の義務:支援計画の策定と実施

特定技能1号の外国人を採用する受入れ企業は、出入国在留管理庁が定める支援計画を策定・実施する義務があります。支援内容には事前ガイダンス・生活オリエンテーション・定期面談・各種相談対応などが含まれます。適切に実施できない場合は、登録支援機関への委託が認められています。

外国人採用を成功させるための3つのポイント

1. 在日外国人材を優先的に採用する

海外からの呼び寄せは、ビザ取得・渡航準備に時間とコストがかかります。すでに日本で就労経験のある在日外国人材であれば、日本語能力・職場文化への適応力が一定以上あり、採用から就業開始までのリードタイムを大幅に短縮できます。

2. 登録支援機関を活用してコンプライアンスを確保する

特定技能外国人の受入れでは、法令上の支援義務が多岐にわたります。登録支援機関に委託することで、複雑な手続きをアウトソーシングしながら法令遵守と外国人材の定着を両立できます。外国人採用が初めての企業ほど、専門機関のサポートを積極的に活用してください。

3. 入社後の定着支援に投資する

採用して終わりにせず、入社後の生活支援・母国語でのフォロー・定期面談が定着率に直結します。外国人採用のメリット・デメリットでも解説していますが、定着支援への投資は早期離職リスクを下げ、長期的には採用コストの削減につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 留学生を正社員として採用できますか?

できます。ただし留学生は在学中に就労が制限されているため、卒業後に「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格に変更する手続きが必要です。卒業見込みの段階から採用活動を進め、内定後に在留資格変更申請のスケジュールを組むのがおすすめです。在留資格変更申請は卒業後でないと受理されないため、就業開始日の設定に余裕を持たせてください。

Q. 在留カードの確認はどうすればいいですか?

採用面接または内定後に在留カード(表裏)のコピーを取り、在留資格の種類・在留期限・就労制限の有無を確認してください。カードの真偽が不明な場合は、出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会サービスでオンライン確認できます。コピーは採用書類と一緒に保管しておくことを推奨します。

Q. 外国人労働者に残業させても問題ありませんか?

在留資格の範囲内の業務であれば、日本人と同様に残業させることができます。ただし、労働基準法の時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)は外国人にも適用されます。割増賃金(残業代)の支払い義務も日本人と同様に発生するため、コンプライアンス上の違いはありません。

Q. 外国人採用にかかる期間はどのくらいですか?

在留資格の変更が不要な場合(すでに就労可能な在留資格を持つ場合)は、日本人採用とほぼ同じ期間で採用できます。在留資格の変更や認定が必要な場合は、申請から許可まで通常1か月から3か月かかります。海外からの招聘はさらに渡航準備の時間も必要なため、早めの計画が重要です。

Q. 外国人と日本人で給与に差をつけてもいいですか?

できません。国籍を理由とした不合理な賃金格差は労働基準法違反となります。業務内容・職責・経験年数など合理的な理由に基づく差異は問題ありませんが、「外国人だから」という理由だけで低い賃金を設定することは認められていません。

まとめ:外国人採用は準備と体制整備が成功の鍵

この記事で解説した外国人採用のポイントを整理します。

  • 在留資格の確認が最初のステップ:採用職種に対応する在留資格を事前に特定し、在留カード確認を徹底する
  • 手続きは1〜3か月かかる:在留資格変更のリードタイムを見込んだ採用スケジュールを組む
  • 費用は成功報酬型で最小化できる:人材紹介会社の活用で初期コストゼロから採用活動を開始できる
  • 法的義務の遵守は必須:在留カード確認・ハローワーク届出・均等待遇の3点は欠かせない
  • 入社後の支援が定着率を左右する:登録支援機関の活用と母国語サポート体制が有効

外国人採用は、正しい知識と体制があれば難しくありません。まずはユアブライトの専門スタッフへご相談ください。17万人以上の外国人材データベースから、貴社の業種・条件に合った即戦力人材をご紹介します。初期費用・運用費用は0円で、内定が出るまでお支払いは発生しません。

無料相談はこちらからお気軽にご連絡ください。電話(03-6908-6143)でも受け付けています(受付時間9:00〜18:00)。

2027年の制度転換もあわせて確認

外国人採用の制度環境は、技能実習から育成就労への転換(2027年施行)で大きく変わります。自社への影響と準備事項は、育成就労制度の特設ページを起点に確認してください。

特定技能での採用を検討中の方へ

ユアブライトは登録支援機関として、特定技能人材紹介・登録支援サービスを提供しています。実際の受け入れ企業の取り組みは導入事例で、募集前に社内で確認したい項目は受入れ前15項目チェックリスト(無料PDF・全23ページ)で確認できます。