フィリピンのクリスマスを知る手がかりが、星形の飾り「パロル」、夜明け前のミサ「シンバンガビ」、イブの食卓「ノチェブエナ」です。飾るもの、集まる時間、一緒に囲む食事。それぞれの場面から、この季節の過ごし方をのぞいてみましょう。

家の前を彩る星形のパロル

パロルは、家の前などに掲げる星形の飾りです。その星の形は、イエス誕生の夜に東方の博士たちを導いたとされる、ベツレヘムの星に結びつけられています。

最初期の形は、パペル・デ・ハポンと呼ばれる紙で作った、シンプルな星形の灯籠でした。その後、カピス貝の殻を使い、明かりをともす形も生まれました。形、大きさ、色、模様にもさまざまな工夫が見られます。

ラスピニャス市には、旧市街の通りでパロルを作る営みがあります。星という形を受け継ぎながら、素材や色、明かりの使い方には変化があるところが面白い点です。写真や実物を見るときも、星形だけでなく、何で作られ、どんな色や模様になっているかに目を向けてみてください。

夜明け前に集まるシンバンガビ

シンバンガビは、九日間続けて行われる、聖母マリアを讃える早朝のミサです。「ミサ・デ・ガジョ」とも呼ばれ、カトリックの信仰と結びついた行事です。

この早朝ミサは、スペイン植民地時代の影響を受けて始まり、日の出前から畑で働く農民が参加しやすい時間に行われたとされています。祈りの時間と、一日の仕事へ向かう暮らし。そのつながりを知ると、夜明け前に集まるという習慣が具体的に感じられます。

九日間すべてに通うことができれば、クリスマスイブに願い事がかなう、と信じる人もいるそうです。これは信仰にまつわる言い伝えです。誰かとこの行事の話をするときは、「参加するの?」と決めつけるより、その人がどんなふうに過ごすかを聞いてみるとよさそうです。

歌や贈り物を通した楽しみ

クリスマスの楽しみには、子どもたちが家々を回って歌うキャロルもあります。タンバリンやギターを手に歌い、お礼に小銭やお菓子を受け取る様子が紹介されています。

贈り物を交換する「モニト・モニタ」という遊びもあります。誰からの贈り物なのかは、受け取るときまで明かされません。中身を選ぶだけでなく、贈り主を知る瞬間にも楽しみがある交換です。

家の前を彩る飾り、歌を歌って訪ねる子どもたち、贈り物のやり取り。クリスマスを一つの行事だけで考えるより、こうした場面を並べてみると、人と人が関わる季節の姿が見えてきます。

イブに囲むノチェブエナの食卓

ノチェブエナは、クリスマスイブに家族や親しい友人と食事を囲む時間です。各家庭の自慢の料理などを並べ、夕食をともにする場面として紹介されています。

料理名をいくつも覚える前に、まず誰と食卓を囲むのかを想像してみましょう。ここで大切にされているのは、家族や親しい人が集まり、一緒に過ごすことです。どんな料理が出るかも、その人の家の話として聞くと、具体的な思い出につながりそうです。

フィリピン出身の人と季節の話をするなら、「パロルを見たことはある?」「イブには何を食べるのが好き?」など、身近な話題から始めるのも一案です。知った習慣をそのまま相手に当てはめず、相手自身の楽しみ方を聞く。星形の飾りや食卓の話が、そんな会話の入口になります。

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参考資料・注記

Las Piñas市「Parol Making」【パロルの素材・形と象徴】(リンク確認日:2026年10月19日)

NIA JRMP-II JP Vanessa M. Tse Wing「The Filipino Christmas」【ミサ・贈り物・ノチェブエナ】(リンク確認日:2026年10月19日)

注記:本文は各出典の紹介例に基づきます。