
ノンラーはどんな帽子?|素材と用途、風景画を描く例を知る
ノンラーは、ベトナムの暮らしを思わせる円すい形の帽子です。雨や日差しをしのぐ道具として使われる一方、表面に風景を描く作り手もいます。形や素材だけでなく、誰がどんなふうに使い、手を加えているかを見ると、一つの帽子の表情が広がります。
雨と日差しをしのぐ帽子
ノンラーは、手で編んだヤシの葉の帽子として紹介されています。頭の上で円すい形が広がる姿は、ベトナムらしい輪郭として知られています。装飾を見る前に、まず暮らしの道具という面から眺めてみましょう。
雨や日差しから身を守るため、男女や年齢を問わず使われる帽子です。特に、市場で商いをする人、田んぼで働く人、水辺で仕事をする人に多く使われるとされています。
同じ帽子を見るときも、街中なのか、田んぼなのか、水辺なのかで、目に入る景色が変わります。帽子の形に加えて、その人がいる場所やしている仕事を見ると、装いと暮らしを一緒に楽しめそうです。
ヤシの葉の上に風景を描く
実用の帽子に、絵を描く制作もあります。フエでノンラーに風景を描いているのが、ファン・クアン・ニャットさんです。帽子の表面を使い、フエの暮らしや景色を描いています。
彼は十八歳のころ、絹の布に絵を描く技術を学びました。その仕事を七年ほど続けた後に、帽子に描く制作へ移ったと語っています。平らな絵だけでなく、身につける帽子にも風景を載せるところが、興味深い工夫です。
描き始めたころには一日に二、三枚ほどだったものが、慣れてからは二十枚から三十枚ほど描けるようになったという話もあります。これはニャットさん自身の制作の歩みです。枚数の多さだけでなく、布に描いていた人が帽子へ向かった経緯にも、その人らしさが見えます。
帽子の中にあるフエの景色
ニャットさんが描く題材には、川辺で船を待つ女性、網を投げる漁師、緑の田んぼで働く農夫、空を飛ぶ鳥などがあります。働く人や、水辺と田んぼの風景が、帽子の表面に描かれます。
チュオンティエン橋やフオン川も、題材の例です。風景を描いた帽子を見つけたら、どんな場所なのか、何をしている人なのかを眺めてみましょう。橋や川、人や鳥という具体的なものから、絵の中の景色を追うことができます。
雨や日差しをしのぐ道具としての帽子と、描き手が選んだ風景のある帽子。ノンラーには、使う人から見る楽しみと、作る人から見る楽しみがあります。絵がある場合には、素材を見る目と、描かれた場面を見る目の両方で楽しめそうです。
形から、その人の帽子へ
ノンラーに出会ったら、円すい形だけでなく、ヤシの葉の手仕事、使われている場所、描かれた風景にも目を向けてみてください。帽子一つから、仕事や制作の話へと関心を広げられます。
身近な人がノンラーを持っていたら、「どんなところで見つけたの?」「絵には何が描かれているの?」と尋ねてみるのもよさそうです。相手の出身地だけで使い方を決めず、その人と帽子のつながりを聞く。そんなところから、暮らしの道具を知る会話が始まります。
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