
育成就労計画の作り方|企業が今から準備すべき実務ステップ
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外国人材の受け入れを検討する企業から、「育成就労計画は何をどう作ればいいのか」という相談が増えています。技能実習制度からの移行が決まっている一方で、具体的な様式や審査の詳細はまだ流動的な部分も残っており、担当者の不安は小さくありません。本記事では、育成就労計画の作り方について、企業が今の段階で押さえておくべき考え方と準備手順を、実務目線で整理します。
なお本記事は2026年7月22日時点で公開されている出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の情報をもとに作成しています。制度の詳細は今後も更新される可能性があるため、確定情報と未確定情報を分けて記載します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
育成就労制度とは?企業が計画づくりを迫られる背景
育成就労制度は、技能実習制度に代わる新しい在留の枠組みとして創設が決定した制度です。人材育成と人材確保の両立を目的とし、一定の要件のもとで本人の希望による転籍も認められる点が、これまでの技能実習制度と大きく異なります。
制度の詳細な運用ルールについては、出入国在留管理庁が公表している育成就労制度運用要領で順次示されています。企業にとって重要なのは、技能実習と同様に「計画を作成し、認定を受けてから受け入れを開始する」という基本構造が維持される見込みである点です。つまり、育成就労計画の作り方を理解しておくことは、受け入れ準備の入口にあたる作業といえます。
制度の全体像や技能実習・特定技能との違いについては、育成就労制度の総合ガイドおよび技能実習・特定技能との違いで詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。
育成就労計画とは何か-法的な位置づけと技能実習計画との違い
育成就労計画とは、企業(実施者)が外国人材を受け入れるにあたり、育成の目標・内容・実施体制などをまとめ、認定を受けるための計画書を指します。技能実習制度における「技能実習計画」に相当する仕組みとして位置づけられており、認定を受けた計画の範囲内でのみ受け入れが認められる点は技能実習と共通です。
一方で、育成就労計画には次のような技能実習計画との違いが想定されています。
- 育成の目標が「特定技能水準の技能習得」に明確に紐づけられる
- 一定期間・要件を満たした場合の本人都合による転籍が制度上組み込まれる
- 日本語能力の向上に関する目標や支援内容の記載が重視される
- 受け入れ企業側の体制整備(相談体制・生活支援)がより具体的に問われる
これらの詳細な記載事項や様式は、外国人技能実習機構の後継組織による運用の中で順次明確化される見込みであり、2026年7月時点では全ての細目が確定しているわけではありません。技能実習計画との具体的な違いをより詳しく知りたい企業の方は、技能実習・特定技能との違いのページもあわせてご覧ください。
育成就労計画の作り方:企業が準備する実務ステップ
育成就労計画の作り方は、技能実習計画の作成プロセスを土台に、いくつかの追加確認事項が加わる形になると見込まれています。ここでは、企業が今から準備を進めるうえでの実務ステップを整理します。
ステップ1:受け入れ対象分野・業務区分の確認
まず、自社が受け入れを希望する業務が育成就労制度の対象分野に含まれているかを確認します。対象分野や業務区分は特定技能の分野と連動する形で整理される見込みであり、育成就労の対象分野・業務区分で最新の整理状況を確認できます。対象外の業務であれば、計画作成以前の段階で受け入れ方針の見直しが必要になります。
ステップ2:育成方針と目標水準の設計
育成就労は「特定技能1号水準の技能・日本語能力の習得」を目標とする制度設計になる見込みです。企業側は、受け入れ期間中にどのような業務を経験させ、どの段階でどの試験合格を目指すのかという育成方針を具体化しておく必要があります。現場の教育担当者・技能実習指導員に相当する立場の人材を誰が担うかも、この段階で決めておくと後の作業がスムーズです。
ステップ3:実施体制・支援体制の整備
生活支援や相談窓口の設置など、受け入れ企業に求められる体制整備は技能実習制度よりも重視される方向にあります。母国語での相談対応や、住居確保・生活オリエンテーションの実施体制を、計画作成前に社内でどこまで自社対応し、どこを外部の登録支援機関等に委託するか整理しておくことが重要です。
ステップ4:計画書の作成・関係機関への確認
体制と方針が固まったら、計画書の様式に沿って記載を進めます。様式や必要書類の詳細は、外国人技能実習機構の育成就労制度ページで順次公開される見込みです。不明点がある場合は、自己判断で進めず、出入国在留管理庁や監理団体・登録支援機関に相談しながら進めることをおすすめします。
ステップ5:認定申請とスケジュール管理
計画の認定には一定の審査期間が見込まれるため、受け入れ希望時期から逆算したスケジュール管理が欠かせません。制度の施行時期や申請受付の具体的な流れについては、育成就労制度の施行・申請スケジュールで最新情報を整理していますので、社内の採用計画と照らし合わせてご確認ください。
施行日前申請(2026年9月1日〜2027年3月31日)で先に確認すること
育成就労計画の認定に係る施行日前申請は2026年(令和8年)9月1日に受付が始まり、制度の運用開始(実際に育成就労外国人を受け入れられる日)は2027年(令和9年)4月1日です(出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A Q3・Q7・Q8、2026年9月9日確認)。外国人技能実習機構(OTIT)の手続案内では、受付期間は2026年9月1日から2027年3月31日まで、申請時期は開始予定日の7か月前から5か月前とされ、申請書は原則として2027年4月1日以降の開始時点の状況で作成します(OTIT 育成就労計画認定 施行日前申請)。2027年4月開始を目指すなら、申請の入口は2026年9月です。
提出先は機構本部ではなく、申請者の住所地(法人は本店所在地)を担当する地方事務所・支所で、郵送のほか来所もできます。入管庁の施行日前申請の案内も、受付開始日より前に到着する申請は受け付けないとしているため、9月1日以降に届くように送ります(出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」、OTIT 施行日前申請、2026年9月9日確認)。
監理型で計画を出す前提は、いまの監理団体許可だけでは足りません。監理支援を行う法人が技能実習法の監理団体許可を受けていることに加えて、育成就労法の監理支援機関許可に係る施行日前申請(2026年4月15日受付開始)を行っており、計画の申請時に監理支援機関許可申請の受理票の写しを添える必要があります。監理支援機関の許可がされなければ育成就労計画も認定されません。単独型は監理支援機関を挟まないため、この受理票の条件は監理型の話です(出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」、育成就労制度Q&A Q3・Q26・Q33、2026年9月9日確認)。
提出書類には「提出書類一覧・確認表」、分野別協議会への加入証明、分野ごとの告示基準に係る書類が含まれます。入管庁は、加入証明のない申請は追加提出まで審査を保留すると注記し、分野によっては2026年9月1日時点でも分野別運用要領・審査基準・協議会等の加入手続が未公表または準備中であるため、その場合も追加資料が揃うまで審査は保留になるとしています。工業製品製造業は分野別協議会に代えて一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)への入会が必要です(出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」、2026年9月9日確認)。
申請時に送出国の公的機関が発行する推薦状を要すると入管庁が案内している国は、インドネシア、カンボジア、キルギス、ベトナム、ラオスの5か国です(ラオスは2026年8月31日に協力覚書が発効済みで、推薦状の要否は覚書の状態とは別に案内されています)。推薦状のない対象者は申請時に含められません(出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」、2026年9月9日確認)。
技能実習からの経過措置は別トラックで、対象者が二つに分かれます。第一に、2027年4月1日時点で既に在留している技能実習生は、認定済みの技能実習計画に沿って施行後も実習を続けられます。第二に、施行後に新たに技能実習で入国できるのは、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請を行い、原則として2027年6月30日までに実習を開始する人に限られます。技能実習計画が育成就労計画に自動で置き換わる仕組みはなく、監理団体が監理支援機関として関わるには新たに許可が要ります(育成就労制度Q&A Q31・Q33・Q47・Q78、2026年9月9日確認)。OTITは技能実習1号の計画認定申請を2027年2月までに行うよう求め、育成就労計画の申請書とは封筒を分けて送るよう案内しています(OTIT 育成就労制度)。
計画に固定する定着条件も申請時点で決めます。当初から3年間の計画を作成して認定を受け(Q28・Q29)、転籍制限期間は分野別運用方針が定める1年以上2年以下の範囲で設定します。分野が1年超を定めていても実施者の判断で1年にでき、1年超にする場合は分野別運用方針が定める待遇の向上が必要です(Q50・Q51)。宿泊施設は計画の記載事項で、寝室は実際に使えないスペースを除き1人当たり4.5平方メートル以上が求められます。日本語は就労開始前にA1相当の試験合格、または認定日本語教育機関等のA1相当講習100時間以上が必要ですが、A1試験に合格しなければ入国できない仕組みではありません(Q56・Q67)。送出機関が徴収できる費用は所定内月額の2か月分までで、超える分は育成就労実施者または監理支援機関が負担します(Q74)(育成就労制度Q&A、育成就労制度運用要領、2026年9月9日確認)。
計画の認定申請は最後の手続ではありません。運用要領は認定申請書の副本を在留資格認定証明書交付申請などに使うために提出するよう求めており、施行日前申請の審査結果は2027年4月1日以降に順次郵送されます。実際に受け入れられるのは施行日以降で、認定通知のあとに在留資格認定証明書の交付申請が残ります(育成就労制度運用要領、育成就労制度Q&A Q7、2026年9月9日確認)。
施行日前申請を出す前の確認項目は次のとおりです。
- 開始予定日の7か月前から5か月前の枠に入っているか(2027年4月開始なら2026年9月〜11月)
- 監理型なら、監理支援機関許可の施行日前申請の受理票の写しが手元にあるか(入管庁 施行日前申請の案内、2026年9月9日確認)
- 分野別協議会の加入証明(工業製品製造業はJAIM入会)と、分野別の告示基準書類が揃っているか(入管庁 施行日前申請の案内、2026年9月9日確認)
- 推薦状が必要な5か国の候補者について、対象者ごとの推薦状があるか
- 転籍制限期間・宿泊施設・日本語要件・本国費用の上限が計画に書き込まれているか
出典: 出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A / 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」 / 育成就労制度運用要領 / OTIT 育成就労計画認定 施行日前申請(いずれも2026年9月9日確認)
図解:採用前確認フロー
育成就労人材の採用準備は、次のような流れで進めるとイメージしやすくなります。文章での整理として捉えてください。
- 第一段階:対象分野・業務区分の確認と、社内の受け入れニーズの整理
- 第二段階:育成方針・目標水準・教育担当者の決定
- 第三段階:生活支援体制の整備(自社対応か外部委託かの判断を含む)
- 第四段階:育成就労計画書の作成と関係機関への事前相談
- 第五段階:認定申請とスケジュールに沿った受け入れ準備
この流れを社内の採用フローに組み込み、いつ・誰が・何を判断するのかを明文化しておくと、担当者が変わっても対応がぶれにくくなります。
現場でよくある相談
育成就労計画の作り方について、企業の人事・経営層からは次のような相談が多く寄せられます。
「技能実習計画をそのまま流用できるのか」という質問には、基本的な考え方は共通する部分が多いものの、転籍要件や日本語教育の位置づけなど育成就労特有の記載が求められる可能性が高く、単純な流用は難しいとお伝えしています。
「転籍が認められると人材が定着しないのでは」という不安もよく聞かれます。これに対しては、計画作成の段階から育成方針・待遇・支援体制を明確にし、本人が働き続けたいと思える環境を用意することが、結果的に転籍リスクを下げる最も現実的な対策になるとお答えしています。
「監理団体や登録支援機関にどこまで任せられるのか」という相談も少なくありません。計画作成そのものの主体は受け入れ企業ですが、様式作成の実務支援や生活支援の実施を外部機関に委託することは可能な見込みです。自社の体制と照らし合わせて、委託範囲を早めに検討しておくとよいでしょう。
失敗パターンと回避策
育成就労計画づくりでは、次のような失敗パターンが起こりがちです。
制度施行前の情報だけを頼りに、社内様式や教育計画を先行して固めすぎてしまうケースがあります。運用要領は今後も更新される可能性があるため、細部を固めすぎず、方針レベルでの準備にとどめておくことが回避策になります。
技能実習制度の感覚のまま「管理・監督」の発想で計画を作成してしまうケースも見られます。育成就労は本人の意向を踏まえた転籍が制度上組み込まれる見込みであるため、待遇や職場環境を「選ばれる立場」として整える発想への転換が必要です。
生活支援体制を計画書上の記載だけで済ませ、実態の体制整備を後回しにしてしまう失敗も少なくありません。書類上の整合性だけでなく、実際に相談対応できる担当者や連絡体制を先に用意しておくことが、認定後のトラブル防止につながります。
社内の一部署だけで計画作成を進め、現場の受け入れ担当者や経営層との合意形成が不十分なまま申請してしまうケースもあります。育成方針や配置計画は現場の実情と合っている必要があるため、早い段階から関係部署を巻き込むことが重要です。
採用担当者が見落としやすいポイント
採用担当者が育成就労計画の作り方を検討する際、見落としやすいポイントを整理します。
対象分野・業務区分の確認を後回しにし、育成方針を先に決めてしまうと、後から対象外であることが判明し手戻りが発生します。まず分野の該当性を確認する順序を守ることが大切です。
日本語教育の実施体制について、外部の日本語学校や教材との連携を想定せず、自社対応のみで計画してしまう例もあります。学習時間の確保や教材準備は現場の負担になりやすいため、早期に外部リソースの活用可否を検討しておくと安心です。
受け入れ後の転籍対応について、就業規則や雇用条件の整備が追いついていないケースもあります。転籍が制度上想定される以上、賃金体系や評価制度を可視化し、他社と比較されても選ばれる条件を用意しておくことが、実務上の判断基準の一つになります。
制度の施行時期や申請スケジュールを社内の採用計画に反映し忘れ、受け入れ希望時期に間に合わないという見落としも起こりがちです。スケジュールは早めに関連ページで確認し、社内の採用計画に反映しておきましょう。
実務チェックリスト
- 自社が受け入れたい業務が育成就労制度の対象分野・業務区分に含まれているか確認したか
- 育成方針と目標水準(特定技能水準の技能・日本語能力)を具体化したか
- 教育担当者・現場責任者の役割分担を決めたか
- 生活支援・相談体制を自社対応か外部委託かで整理したか
- 就業規則・賃金体系が転籍を前提とした環境整備として妥当か見直したか
- 計画書の様式・記載事項について外国人技能実習機構や出入国在留管理庁の最新情報を確認したか
- 認定申請から受け入れ開始までのスケジュールを社内の採用計画に反映したか
- 監理団体・登録支援機関との役割分担・委託範囲を明確にしたか
よくある質問(FAQ)
Q. 育成就労計画は技能実習計画と同じ様式で作成できますか。 基本的な骨格は共通する部分が多いと見込まれますが、転籍要件や日本語教育に関する記載など育成就労特有の項目が加わる可能性が高く、そのまま流用することは推奨されません。最新の様式は外国人技能実習機構の公開情報でご確認ください。
Q. 育成就労計画の認定はどこが行いますか。 技能実習制度における外国人技能実習機構の役割を引き継ぐ組織が認定を担う見込みです。具体的な組織体制や手続きの詳細は、出入国在留管理庁の公式ページで順次公表されています。
Q. ハローワークや厚生労働省への届出は不要になりますか。 外国人材を雇用する場合、育成就労計画の認定とは別に、厚生労働省が所管するハローワークへの外国人雇用状況の届出は引き続き必要になると考えられます。雇用関連の手続きについては、厚生労働省やe-Govの公開情報もあわせてご確認ください。
Q. 計画作成は自社だけで進める必要がありますか。 計画作成の主体は受け入れ企業ですが、様式作成の実務支援や生活支援の実施は、監理団体・登録支援機関に委託することが可能な見込みです。自社の体制に応じて委託範囲を検討することをおすすめします。
まとめ-育成就労計画づくりの判断基準
育成就労計画の作り方は、技能実習計画の枠組みを土台としながらも、転籍対応・日本語教育・生活支援体制といった新しい要素が加わる見込みです。制度の細部は今後も更新される可能性があるため、確定情報と未確定情報を分けて捉え、方針レベルでの準備を先行させることが現実的な判断基準になります。
準備を進める際は、対象分野の確認、育成方針の設計、支援体制の整備、計画書作成、認定申請という流れを社内の採用フローに組み込み、関係部署を早期に巻き込むことが重要です。制度の全体像や施行スケジュールについては、育成就労制度の総合ガイド、育成就労制度の施行・申請スケジュール、育成就労制度運用要領の実務ポイントもあわせてご確認いただき、最新の公式情報は出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の公開ページで随時確認することをおすすめします。
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