少子高齢化による人手不足が深刻な日本では、外国人材の採用を検討する企業が急増しています。しかし、外国人採用には日本人の採用とは異なる手続きや法令上の注意点があり、これを知らないまま進めてしまうと、思わぬ法令違反を招くことがあります。

この記事では、はじめて外国人材を採用しようとしている担当者の方向けに、絶対に押さえておくべき7つの注意点をわかりやすく解説します。「何から手をつければいいかわからない」「うっかり違法な雇用をしてしまわないか不安」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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外国人採用でよくある失敗パターン

注意点の本題に入る前に、実際によく起きる失敗パターンを確認しておきましょう。こうした事例を把握しておくだけで、多くのトラブルを未然に防げます。

パターン1:在留資格を確認しないまま就労させてしまった

外国人材が持つ在留カードを確認せず採用し、後から就労が認められていない在留資格だったことが発覚するケースがあります。この場合、雇用主側も「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。「本人が日本語を話せたから大丈夫だと思った」という声をよく聞きますが、日本語能力と就労資格はまったく別の話です。

パターン2:業務内容が在留資格の許可範囲外だった

在留資格はそれぞれ就労できる業務の範囲が決まっています。資格の種類は確認したものの、実際の業務が許可範囲外だったというケースも珍しくありません。「同じ工場の仕事だから問題ない」と思っていたら、担当工程が資格外だったというパターンが典型的です。

パターン3:社会保険の加入手続きを後回しにしてしまった

「外国人だから加入しなくてもいい」と誤解している担当者が一定数います。しかし、日本の社会保険は国籍を問わず適用されます。未加入のまま放置すると追徴金や行政指導の対象になることがあるので、早めに対応することが大切です。

こうした失敗を未然に防ぐためにも、次の7つの注意点をしっかり理解しておきましょう。

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注意点① 在留資格の種類と就労可否を確認する

外国人を雇用する際にまず確認しなければならないのが、在留資格(ビザ)です。在留資格には29種類あり、それぞれ就労できる業務の範囲や条件が異なります。

採用候補者が持参する在留カード(Residence Card)で、次の3点を必ず確認してください。

  • 在留資格の種類:「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能」「留学」「永住者」など、資格の名称を正確に把握する
  • 在留期限:期限が切れていないか、採用後に更新が必要かどうかを確認する
  • 就労制限の有無:カード裏面の「就労制限の有無」欄で確認できる。「就労不可」と記載されている場合は原則として就労させてはならない

就労できる在留資格と就労不可の在留資格があることを理解しておくことが重要です。たとえば「留学」は原則として就労不可ですが、資格外活動許可を取得した場合は一定の範囲で就労できます。

もし就労資格のない外国人を雇用してしまうと、入管法第73条の2に定める「不法就労助長罪」が適用され、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。採用時には必ず原本を確認し、コピーを保管しておくことをおすすめします。

在留カードの真偽確認については、法務省が提供する「在留カード等読取アプリ」を活用することで、ICチップの情報を読み取って真正性を確認できます。採用担当者のスマートフォンにインストールしておくと、確認作業がスムーズになります。

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注意点② 業務内容と在留資格を照合する

在留資格の種類を確認するだけでは不十分です。採用後に担当してもらう業務が、その在留資格で認められた範囲内に収まっているかを照合することが必要です。

代表的な在留資格と対応する業務の関係は次のとおりです。

技術・人文知識・国際業務

  • 対応業務: ITエンジニア、マーケティング、経営企画、通訳・翻訳、デザインなど
  • 注意点: 製造ラインの流れ作業や清掃・配送といった単純作業は認められていない

技能

  • 対応業務: 外国料理のコック、宝石・貴金属加工、パイロットなど特定の熟練した技能を要する業務
  • 注意点: その技能に直接関係しない業務への従事は原則不可

特定技能(1号・2号)

  • 対応業務: 介護、建設、製造業、農業、飲食料品製造、外食業など指定された14分野
  • 注意点: 在留資格が認められた特定産業分野に限定される

留学(資格外活動許可あり)

  • 対応業務: アルバイト全般(一部制限あり)
  • 注意点: 週28時間以内(長期休業中は週40時間まで)という上限を厳守しなければならない

留学生をアルバイトとして雇用する場合、週28時間という上限の管理は雇用主の責任です。複数の職場で働いている場合は合計の労働時間で判断するため、本人に確認したうえで労働時間を適切に管理してください。「本人が大丈夫と言っていた」では済まされません。

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注意点③ 労働条件通知書を書面・母国語で交付する

労働基準法第15条は、雇用する際に労働条件を明示する義務を雇用主に課しています。これは外国人材を雇用する場合も同様です。

外国人材との雇用契約では、言語の壁が原因でトラブルが生じやすいので、次の対応を心がけましょう。

  • 書面での交付:労働条件通知書は口頭だけでなく書面(または電磁的方法)で交付する
  • 母国語での案内:厚生労働省が英語・中国語・ベトナム語・タガログ語など11言語の「モデル労働条件通知書」を公開しているので積極的に活用する
  • 重要事項の説明:賃金・労働時間・休日・解雇事由などを本人が理解できる言語で丁寧に説明する

厚生労働省のモデル書式を使用することで、記載漏れを防ぐことができ、後々のトラブル対応にも役立ちます。また、労働条件通知書のほかに就業規則の要点を母国語で説明したガイドブックを作成する企業も増えています。

労働条件の明示が不十分な場合、外国人材が入社後に「聞いていた条件と違う」として早期離職するケースや、労働基準監督署への申告につながるケースも出てきます。最初の説明をていねいに行うことが、後のトラブル防止に直結します。

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注意点④ 社会保険・労働保険への加入義務を果たす

「外国人は日本の社会保険に加入しなくてもいいのでは」と思っている方がいますが、これは誤りです。日本の社会保険制度は、在留資格の種類に関係なく、一定の条件を満たす労働者に適用されます。

外国人材を雇用する際に確認が必要な保険は主に次の4つです。

健康保険

  • 概要: 週30時間以上(または正社員の4分の3以上)勤務する場合は原則加入義務あり
  • 注意点: 国民健康保険との切り替えが必要な場合があるので、入社前に確認する

厚生年金保険

  • 概要: 健康保険と同様の要件で加入義務が生じる
  • 注意点: 出身国との社会保障協定(EPA)がある場合、二重加入の免除が受けられることがある

雇用保険

  • 概要: 週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある場合は加入義務あり
  • 注意点: 「特別永住者」「在留資格なし」の外国人を除き、ほぼすべての在留資格が対象

労災保険

  • 概要: 雇用するすべての労働者が対象(パート・アルバイト・外国人を問わない)
  • 注意点: 保険料は全額事業主負担であり、外国人だからといって除外する理由はない

万が一、加入義務を怠った場合は、遡及して保険料を徴収されるだけでなく、行政指導や企業イメージの低下にもつながります。採用が決まったら速やかに手続きを進めることが大切です。

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注意点⑤ ハローワークへの外国人雇用状況届出を行う

外国人材を雇い入れたとき、または離職したときは、ハローワーク(公共職業安定所)への届出が法令上の義務です。根拠となるのは労働施策総合推進法第28条で、届出を怠ると30万円以下の罰金が課される可能性があります。

届出の概要は次のとおりです。

届出のタイミングと期限

  • 対象: 雇い入れ時・離職時の両方
  • 期限: それぞれの翌月10日まで
  • 方法: ハローワークへの窓口提出またはe-Govによるオンライン申請

届出の対象となる外国人

  • 対象: 特別永住者(在日韓国・朝鮮人等)を除くすべての外国人労働者
  • 注意点: 派遣社員の場合は派遣元事業主が届出義務者となる

届出の主な記載事項

  • 氏名・在留資格・在留期間・生年月日・性別・国籍・資格外活動許可の有無など

詳細は厚生労働省の外国人雇用状況届出ページでご確認ください。届出はe-Govによるオンライン申請にも対応しており、紙の書類を持参せずとも手続きを完了できます。

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注意点⑥ 国籍を理由とした差別的な扱いを禁止する

外国人材を採用・雇用する場面でよく起きるコンプライアンス違反の一つが、国籍を理由とした不当な待遇の差です。労働基準法第3条は、国籍・信条・社会的身分を理由とした労働条件の差別的取り扱いを明確に禁止しています。

具体的に注意すべき点は以下のとおりです。

  • 最低賃金:国籍に関係なく、都道府県別・産業別最低賃金が適用される
  • 残業代・割増賃金:時間外・深夜・休日労働の割増賃金は日本人と同じ計算式で支払う義務がある
  • 業務内容と賃金の関係:同等の業務を担当する日本人との賃金差を国籍のみで正当化することはできない
  • 福利厚生:社宅・食事補助・慶弔見舞金などを国籍を理由に外国人材だけ排除することは、不当な差別に当たる可能性がある

採用選考においても、国籍・民族・出身国を理由として不当に落選させることは問題です。選考基準をあらかじめ職務要件に基づいて文書化し、評価シートを統一することで選考過程の透明性を確保できます。

外国人採用のメリット・デメリットでも解説しているとおり、適切な体制のもとで外国人材を受け入れることは企業競争力の向上に直結します。均等待遇の確保はリスク管理であると同時に、良好な職場環境づくりの土台です。

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注意点⑦ 入社後の定着支援・生活サポートを整える

せっかく採用した外国人材が早期に離職してしまうことを防ぐためには、入社後のサポート体制が不可欠です。外国人材にとって、日本での生活立ち上げは採用と同じくらい大きな課題です。住居の確保・銀行口座の開設・携帯電話の契約・市区町村への転入届など、一つひとつの手続きが日本語の壁や制度の複雑さでつまずく原因になります。

企業が入社前後に整備すべきサポートの例は以下のとおりです。

  • 住居の確保または不動産会社の紹介(入居時の保証人問題への対応を含む)
  • 銀行口座・携帯電話の開設サポート
  • 市区町村への転入届・マイナンバーカード取得の案内
  • 職場のルール・マナー・緊急連絡体制の説明(母国語での案内が望ましい)
  • 定期的な面談による業務上の悩みや生活上の問題の早期把握
  • 相談できる窓口の設置(社内の多言語対応担当者または外部機関の活用)

特定技能の在留資格を持つ外国人材を採用する場合、受入れ企業または登録支援機関が「支援計画」を策定し、生活オリエンテーション・定期面談(3か月に1回以上)・行政手続き同行支援・相談対応などを実施することが入管法令上の義務となっています。これらの支援を自社で実施するリソースがない場合は、登録支援機関への委託が可能です。

ユアブライトは特定技能人材の採用から入社後の定着支援まで一貫してサポートする登録支援機関(登録番号: 19-登-000992)です。母国語対応スタッフが入社後も継続的にフォローするため、言葉の壁によるコミュニケーション問題や早期離職リスクを大幅に軽減できます。外国人材を採用する具体的な手順については外国人採用の流れを解説した記事もあわせてご参照ください。

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まとめ:外国人採用を成功させる7つの注意点

外国人採用を適切に進めるための注意点を改めて整理します。

  1. 在留資格の種類と就労可否を確認する:在留カードで在留資格の種類・期限・就労制限を確認し、不法就労助長罪(入管法第73条の2)のリスクを回避する
  2. 業務内容と在留資格を照合する:在留資格で認められた業務範囲に限定して業務を割り当て、留学生は週28時間以内の上限を厳守する
  3. 労働条件通知書を書面・母国語で交付する:労働基準法第15条に基づく明示義務を果たし、厚生労働省公開の多言語モデル書式を活用する
  4. 社会保険・労働保険への加入義務を果たす:国籍に関係なく加入要件を満たす場合は速やかに手続きを行う
  5. ハローワークへの外国人雇用状況届出を行う:雇用・離職の翌月10日までに届け出、30万円以下の罰金を回避する
  6. 国籍を理由とした差別的な扱いを禁止する:最低賃金・割増賃金・福利厚生の均等待遇を徹底する(労働基準法第3条)
  7. 入社後の定着支援・生活サポートを整える:特定技能の場合は支援計画の策定・実施が法令上の義務であり、登録支援機関への委託も選択肢になる

外国人材の採用は手続きが複雑に見えますが、一つひとつのポイントを押さえることで確実に進められます。初めての外国人採用で不安がある場合は、登録支援機関や行政書士への相談を早めにご検討ください。

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