少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、外国人労働者の採用を検討する企業は年々増加しています。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、2023年10月末時点で日本で働く外国人労働者数は約204万8,675人に達し、過去最高を更新し続けています。

一方で、「どこから手をつければいいかわからない」「在留資格の確認方法が不明」「手続きに何か月かかるかわからない」という声は今も多く聞かれます。制度の複雑さが採用の第一歩を踏み出す妨げになっているのです。

本記事では、外国人労働者を採用する流れを7つのステップに分けて実務視点で解説します。在留資格の基礎知識から内定後の申請手続き、入社後の受入れ体制づくりまでを網羅しているので、初めて外国人採用に取り組む企業の担当者にも具体的なガイドとして活用いただけます。

外国人労働者を採用する前に知っておきたい在留資格の基礎

外国人が日本で就労するためには、就労を認める在留資格が必要です。在留資格は「認められる活動内容」と「在留期間」を規定するもので、資格の範囲を超えた業務に従事させることは出入国管理及び難民認定法(入管法)違反となります。企業側には不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)が適用されるリスクがあるため、採用前の確認は法的義務と位置づけて対応してください。

採用前に最低限確認すべきポイントは以下の3点です。

  • 候補者が現在所持している在留資格の名称
  • その在留資格で認められている就労活動の範囲(就労不可・制限あり・制限なしの別)
  • 在留カードに記載されている在留期限

在留資格には現在29種類あり、就労に制限のない「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」から、特定の業務のみ認める「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」まで多岐にわたります。在留資格の種類と活動範囲の詳細を事前に把握しておくと、採用計画の精度が格段に高まります。

外国人採用でよく活用される在留資格の種類

採用目的と業務内容に応じて活用される主な在留資格を整理します。

特定技能(1号・2号)

2019年に創設された在留資格で、深刻な人手不足を抱える産業分野に即戦力の外国人材を受け入れるための制度です。特定技能1号は介護・建設・飲食料品製造業など複数の分野が対象で、通算在留期間の上限は5年です。特定技能2号は一定水準以上の技能が求められますが、在留期間の更新回数に制限がなく、家族の帯同も認められています。対象分野の詳細は特定技能の対象業種一覧をご参照ください。

技術・人文知識・国際業務

システムエンジニア・通訳・翻訳・デザイナーなど、専門的知識や技術を活用する業務に従事する際に適用される在留資格です。大学卒業相当の学歴か、10年以上の実務経験が必要とされます。ホワイトカラー職種の採用でよく使われます。

育成就労(旧・技能実習)

2024年の入管法改正により、技能実習制度は段階的に廃止され「育成就労制度」へ移行することが決定しています。育成就労では3年間の就労を通じて特定技能1号への移行を目標とする仕組みになっており、転籍要件も技能実習時代より緩和される見込みです。

特定活動(46号等)

特定活動46号は日本の大学・大学院を卒業し、高い日本語能力を持つ人材が対象です。就労活動の範囲が広く、単純労働にも従事できる点が特徴です。また、経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士・看護師候補者も「特定活動」として在留します。

外国人労働者を採用する7つのステップ

ここからは実際の採用プロセスを時系列で解説します。

ステップ1:採用要件と在留資格の整理

まず採用したい人材の要件(業務内容・日本語レベル・スキル)を明確にし、その業務に対応できる在留資格を特定します。たとえば製造ラインの作業員であれば特定技能1号(工業製品製造業分野)、IT開発エンジニアであれば「技術・人文知識・国際業務」が対象となります。

業務内容と在留資格のミスマッチは後の手続き段階でトラブルを招くため、この段階で社内の法務・総務担当者や行政書士に確認しておくと安心です。

ステップ2:求人・募集活動

求人媒体を選定し、求人票を作成します。外国人材向けの主な募集チャネルには以下があります。

  • 外国人特化型の人材紹介会社・登録支援機関
  • ハローワーク(外国人雇用サービスセンターも活用可能)
  • Indeed・マイナビ・Wantedlyなどの求人サイト
  • 大学・日本語学校などの教育機関への求人掲載

特定技能人材の場合、すでに日本に在留している人材をデータベースから紹介してもらう方法が採用スピードの面で有効です。海外からの呼び寄せとは異なり、在留資格の変更手続きのみで済むため、通常1〜3か月程度で就業開始が可能になります。

ステップ3:書類選考と在留資格の仮確認

書類選考の段階で、応募者が所持している在留資格の種類と在留期限を確認します。パスポートと在留カードのコピーを提出してもらい、以下の点をチェックしてください。

  • 在留資格の名称と就労可否
  • 在留期限(選考・内定・就業開始のスケジュールに影響)
  • 就労制限の有無(資格外活動許可の有無を含む)

この段階は「仮確認」として、詳細な資格適合審査は内定後に行うのが実務上の一般的な流れです。

ステップ4:面接の実施

面接では業務スキルの確認に加え、日本語コミュニケーション能力の確認を行います。特定技能の場合、日本語能力試験N4相当以上(または各特定産業分野の試験合格)が要件となっているため、採用基準と求める日本語レベルを事前に明確にしておくことが重要です。

また、雇用条件(賃金・勤務時間・休日・福利厚生)の説明を面接時に丁寧に行い、日本人と同等の待遇であることを確認してもらいます。入社後に条件ギャップを感じることが早期離職の主要因となるため、この点は特に重要です。特定技能では制度上、日本人労働者と同等以上の報酬を支払うことが義務づけられています。

ステップ5:内定と雇用契約の締結

内定を通知したら、労働条件通知書または雇用契約書を書面(または電磁的方法)で交付します。厚生労働省の指針では、外国人労働者に対しては母国語または理解できる言語で雇用条件を説明することが推奨されています。

雇用契約書に記載すべき主な事項は以下の通りです。

  • 契約期間(特定技能は在留期限に合わせた有期契約が一般的)
  • 業務内容と就業場所
  • 賃金(基本給・各種手当・控除額の内訳)
  • 所定労働時間・休日・休暇
  • 退職・解雇に関する事項

ステップ6:在留資格の変更申請または就労ビザの取得

内定後、必要に応じて在留資格の変更申請を行います。主なケースは以下の通りです。

  • 留学生を採用する場合:「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等へ変更申請
  • 特定技能で採用する場合:他の在留資格から「特定技能」へ変更申請
  • 海外在住の外国人を採用する場合:在外公館での査証(ビザ)申請が必要

申請から許可まで通常1〜3か月かかります。審査が集中する時期(3〜4月)はさらに期間が延びることがあるため、余裕を持ったスケジュール設定が不可欠です。出入国在留管理庁の公式サイトで手順や必要書類を確認できます。

特定技能で採用する場合は、受入れ企業が「1号特定技能外国人支援計画」を策定するか、登録支援機関に支援業務を委託する必要があります。支援計画には事前ガイダンス・住居確保支援・生活オリエンテーション・日本語学習機会の提供など10項目の支援実施が義務づけられています。

ステップ7:受入れ準備と入社オリエンテーション

在留資格が許可されたら、入社前後の受入れ準備を整えます。具体的には以下の対応が必要になります。

  • 住居の手配(特定技能では住居確保支援または情報提供が義務)
  • 銀行口座開設・携帯電話契約のサポート
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険への加入手続き
  • 生活オリエンテーション(交通機関・ゴミ出しルール・緊急連絡先等)
  • 職場でのOJTや多言語コミュニケーションの環境整備

外国人材が安心して業務に集中できる環境を整えることが、定着率を高める最大のポイントです。

採用時に企業が対応すべき法的義務と届出

外国人労働者を採用した企業には、以下の法的義務があります。見落としが生じないよう採用フロー内に組み込んで管理してください。

外国人雇用状況の届出(全事業主に義務)

すべての事業主は、外国人労働者の雇入れ・離職の際にハローワークへ届け出る義務があります(雇用対策法第28条)。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が科されます。雇用保険の被保険者である場合は資格取得届・喪失届に外国人情報を記載して提出し、被保険者でない場合は「外国人雇用状況届出書」を翌月末日までに提出します。厚生労働省の外国人雇用情報ページで最新の様式と手順を確認できます。

在留カードの定期確認と更新管理

在留カードの有効期限が切れた状態での就労は不法就労にあたります。採用時に在留カードのコピーを取得し、在留期限が近づいた際に本人へ通知するフローを社内で構築しておくことを強く推奨します。更新申請には一定の準備期間が必要なため、期限の3か月前を目安にリマインドを設定するのが実務上のベストプラクティスです。

労働関係法令の遵守

外国人労働者にも労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などが等しく適用されます。外国人であることを理由にした賃金差別や、社会保険・雇用保険の未加入は法令違反となります。特定技能では日本人と同等以上の報酬が制度上の要件であり、入国在留管理庁の実地調査対象にもなっています。

採用後に忘れやすい協議会と定期報告の実務

在留資格が「特定技能」の場合、前節のハローワークへの外国人雇用状況届出に加えて、受入れ企業(特定技能所属機関)だけに課される手続きが2系統あります。分野別協議会への加入と、出入国在留管理庁への届出です。どちらも入社後に思い出して対応すると間に合わないため、採用フローのステップ6・7と同じタイミングで担当者を決めておいてください。

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

分野別協議会は、特定技能の産業分野ごとに設置されている組織で、受入れ企業は該当する分野の協議会に加入する義務があります。2024年6月15日以降は、加入のタイミングが「受入れ後4か月以内」から「在留諸申請の前」に前倒しされました。協議会の入会手続きに時間がかかると在留資格の申請自体を出せないため、内定を出した段階で加入状況を確認するのが実務上の安全策です。

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

届出は「定期届出」と「随時届出」に分かれます。定期届出は2025年4月1日施行の入管法施行規則改正で、従来の四半期ごと(年4回)から年1回に変更されました。対象期間は毎年4月1日から翌年3月31日までで、提出期限は翌年5月31日(5月31日が閉庁日の場合は翌開庁日)です。あわせて、以前は別々だった受入れ・活動状況の届出書と支援実施状況の届出書が「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」へ一本化されました。新ルールでの最初の提出は2026年4月1日から5月31日までの期間となります。

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

随時届出は、特定技能雇用契約の変更・終了、新たな契約の締結、支援計画の変更、登録支援機関との支援委託契約の変更・終了、受入れが困難になったとき、支援計画の実施が困難になったときに必要です。たとえば退職や1か月以上活動できなくなる事由が生じた場合は、その事由が生じた日から14日以内に届け出なければなりません。

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

提出方法は、出入国在留管理庁電子届出システム・郵送・窓口持参のいずれかを選べます。電子届出システムを使う場合は事前に利用者情報登録が必要なので、初回の届出期限に間に合うよう早めに済ませてください。郵送・持参の提出先は、受入れ企業の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局です。支援を登録支援機関に全部委託している場合でも、受入れ・活動状況の部分は受入れ企業自身の責任で作成・保管します。

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 内定時点で、採用する分野の協議会に加入済みかを確認する(未加入なら在留諸申請の前に加入手続きを完了させる)

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 定期届出の対象期間(4月1日〜翌年3月31日)と提出期限(翌年5月31日)を年次カレンダーに登録する

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」の最新様式を、提出直前に出入国在留管理庁のサイトで取得する

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 随時届出の対象事由(契約の変更・終了、支援計画の変更、受入れ困難、支援困難)を人事の運用ルールに落とし込み、14日以内の起算日を管理する

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 電子届出システムの利用者情報登録を、初回の届出期限より前に完了させる

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

  • 登録支援機関へ委託している場合も、受入れ・活動状況に関する記録は受入れ企業側で保管する

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」

出典(2026年9月6日確認)・集計対象:リンク先資料の公表範囲:出入国在留管理庁「特定技能制度における各種届出の記載方法・Q&A等について」

入社後の定着支援とよくある課題への対応

外国人労働者の採用は内定・入社で完結するわけではありません。定着率を高めるために入社後の支援体制が重要な役割を担います。

言語・コミュニケーションの壁への対処

職場でよく起きるのが、日本語のニュアンスやビジネスマナーのズレによるすれ違いです。業務マニュアルや社内規程に「やさしい日本語」を導入したり、翻訳ツールを活用したりすることが有効です。また、母国語対応のサポートスタッフが定期的に面談を行うことで、本人が感じている悩みを早期に把握し、不満の蓄積を防げます。

文化・習慣の違いによるトラブルの予防

宗教上の食事制限や祈祷時間の確保、祝日や連休に対する感覚の違いなど、文化的背景に起因する摩擦が生じることがあります。採用前に受入れ部署の管理職向けに異文化理解研修を実施しておくことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

在留資格更新の一元管理

特定技能など有期の在留資格は定期的な更新申請が必要です。更新を失念すると不法就労状態となりリスクが生じます。HRシステムや管理台帳に在留期限を登録し、期限3か月前のアラートを設定する運用が推奨されます。

外国人材の採用プロセスや入社後の定着支援に不安がある場合、外国人人材紹介サービスを提供する登録支援機関に支援計画の実施を委託することで、こうした対応を一括して任せることが可能です。外国人採用を検討する際のメリットや懸念点については外国人採用のメリット・デメリットも合わせてご覧ください。

まとめ

外国人労働者を採用する流れを7つのステップで解説しました。要点を整理すると以下の通りです。

  • 採用前に業務内容と在留資格のマッチングを確認することが最初の最重要ステップ
  • 書類選考・面接段階で在留カードの種類・有効期限を必ず確認する
  • 在留資格の変更申請には通常1〜3か月かかるため、採用計画に余裕を持たせる
  • 雇用後はハローワークへの外国人雇用状況届出が全事業主の法定義務
  • 特定技能採用では支援計画の策定または登録支援機関への委託が義務
  • 入社後の生活支援と在留更新管理が定着率向上の鍵となる

外国人材の採用プロセスや在留資格申請のサポートについてお困りの際は、ぜひお問い合わせよりご相談ください。ユアブライトは登録支援機関(登録番号:19-登-000992)として、求人・マッチングから在留資格申請・入社後支援まで一貫してサポートしています。17万人以上の外国人材データベースから貴社の条件に合った人材をご紹介し、初期費用・運用費用はすべて0円の完全成功報酬型です。まずはお気軽にご連絡ください(受付時間:9:00〜18:00 / 03-6908-6143)。