
外国人介護士の採用ガイド【2026年版】|在留資格4種・費用目安・採用手順・定着支援まで解説
介護現場の人材不足は、今や施設運営に直結する課題です。外国人介護士の採用に関心を持っている担当者の方も多いでしょう。でも「どの在留資格を使えばいいの?」「費用はいくらかかるの?」「手続きが複雑そうで不安…」という声はよく聞かれます。
実は、基本的な流れを理解すれば、外国人介護士の採用はそれほど難しくありません。制度の選び方と手順さえ押さえれば、着実に進められます。
この記事では、そういった疑問にお答えします。外国人介護士を採用できる4つの在留資格の違い、採用にかかる費用の目安、具体的な手順、採用で失敗しないための注意点、そして入社後の定着支援まで、実務担当者が知りたい情報をまとめました。
介護業界で外国人材の採用が急増している背景
介護業界の人手不足の現状は深刻さを増しています。厚生労働省の推計によると、2040年には約69万人の介護人材が不足するとされています。日本人だけで補える水準ではありません。
こうした状況を受け、政府は介護分野への外国人材受け入れを段階的に拡大してきました。外国人が介護施設で働くための在留資格は現在4種類あります。制度ごとに対象国・要件・在留期間・就労範囲が異なります。自施設の状況に合ったルートを選ぶことが、採用成功の出発点です。
外国人介護士を採用できる4つの在留資格
外国人介護士の採用前に、在留資格の種類と概要を把握しておく必要があります。介護分野に関係する主な4制度をそれぞれ解説します。
1. 在留資格「介護」
日本の介護福祉士養成施設(専門学校・大学など)を卒業し、国家試験に合格した外国人が取得できます。在留期限の更新に上限はなく、訪問介護を含む全業務に従事できます。家族帯同も認められているため、長期的な戦力として育てたい場合に最適なルートです。
採用の主なターゲットは、日本の養成施設に在籍中または修了した留学生です。「留学」在留資格での来日から、養成施設修了・国家試験合格・在留資格変更申請という流れが一般的です。採用完了まで6か月から1年程度かかりますが、採用後の安定感は4ルートの中でも特に高いです。長期間一緒に働ける人材を育てたい施設には、最初に検討してほしいルートです。
2. 特定技能1号(介護分野)
採用スピードが速く、即戦力人材も多いため、現在最もよく使われている在留資格です。「介護技能評価試験」「介護日本語評価試験」「日本語能力試験N4以上」の3試験に合格した人材が対象です。
在留期間は通算5年が上限で、家族帯同は認められていません。訪問介護(ホームヘルプ)などの訪問系サービスへの従事も不可です。詳しい要件は出入国在留管理庁の特定技能ページで確認できます。
5年の上限は一見デメリットに見えますが、在留資格「介護」への切り替えを目指す人材と組み合わせれば、長期定着も十分に可能です。まず採用スピードを優先したい施設に向いています。
3. EPA(経済連携協定)
インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国を対象とした制度です。介護福祉士候補者として来日し、施設で働きながら最長4年間、国家試験合格を目指します。合格後は在留資格「介護」に変更できるため、長期定着への道が開けます。
受け入れには施設側の研修体制整備が必要です。候補者のマッチングはJICA等を通じて行われるため、採用完了まで1年以上かかることが多いです。採用コストが比較的高く、準備期間も長い点は事前に把握しておきましょう。国際交流・育成に力を入れたい施設に合っています。
4. 技能実習(介護職種)
技能実習1号・2号・3号の段階を経て、最長5年間、指定された介護施設で就労しながら技術を習得する制度です。訪問系サービスへの従事は不可で、技能実習計画の認定と監理団体の関与が必要です。
技能実習制度は2027年をめどに「育成就労制度」への移行が決定しています。新制度では就労者の権利保護が強化され、一定条件での転職も認められる予定です。今から受け入れを始める場合は、制度変更への対応も念頭に置いた計画が大切です。
4制度の比較表
対象国
- 在留資格「介護」: 全世界
- 特定技能1号: 全世界
- EPA: インドネシア・フィリピン・ベトナム
- 技能実習: 全世界
主な要件
- 在留資格「介護」: 介護福祉士国家資格
- 特定技能1号: 3試験合格
- EPA: EPA協定に基づく選考
- 技能実習: 技能実習計画認定
在留期間
- 在留資格「介護」: 更新上限なし
- 特定技能1号: 通算5年
- EPA: 最長4年(合格後は更新可)
- 技能実習: 最長5年
家族帯同
- 在留資格「介護」: 可
- 特定技能1号: 不可
- EPA: 不可(合格後は可)
- 技能実習: 不可
訪問介護
- 在留資格「介護」: 可
- 特定技能1号: 不可
- EPA: 不可
- 技能実習: 不可
採用までの期間
- 在留資格「介護」: 6か月〜1年
- 特定技能1号: 1〜3か月
- EPA: 1〜2年
- 技能実習: 約1年
長期定着
- 在留資格「介護」: 非常に高い
- 特定技能1号: 5年上限あり
- EPA: 合格後は高い
- 技能実習: 5年上限あり
外国人介護士の採用フロー(特定技能1号を例に解説)
外国人採用の全体的な手順は在留資格によって異なりますが、ここでは最もよく使われている特定技能1号ルートを4ステップで解説します。
ステップ1: 受け入れ体制の事前確認
特定技能外国人を受け入れる前に、以下を確認・整備しましょう。
- 介護分野の受け入れ機関要件(常勤の日本人介護職員との比率規定など)を満たしているか
- 特定技能1号支援計画を自社で策定・実施するか、登録支援機関に委託するか
- 就業規則・雇用契約書の整備(日本人と同等の労働条件が必須)
支援計画の策定・実施が自社では難しい場合、登録支援機関への委託が現実的な選択肢です。登録支援機関は法令上の支援義務を代わりに履行するため、事務負担を大幅に軽減できます。
ステップ2: 候補者の確保と選考
候補者を確保する方法は主に3つあります。
- 人材紹介会社の活用: 在日外国人材のデータベースから条件に合う候補者を紹介してもらう。在留資格変更が比較的スムーズで、採用スピードが速い
- ハローワーク・求人サイト: コストを抑えたい場合に活用できる。ただし母集団形成に時間がかかるケースも多い
- 海外からの招へい: コストと時間がかかるため、在日人材の積極活用が効率的
選考では日本語能力・介護業務経験・3試験の合格状況を確認します。N4程度の日本語でも業務上の意思疎通に問題がないか、面接で直接確認することが大切です。
ステップ3: 在留資格の申請・変更手続き
内定後、出入国在留管理庁への在留資格変更許可申請を行います。申請から許可まで通常1〜3か月かかります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。主な必要書類は次のとおりです。
- 在留資格変更許可申請書
- 雇用契約書(写し)
- 特定技能1号支援計画書
- 受け入れ機関の概要書類(登記事項証明書・決算書など)
- 候補者のパスポートおよび在留カード
ステップ4: 雇用契約の締結と受け入れ準備
在留資格が許可されたら、正式な雇用契約を締結します。外国人材であっても日本の労働基準法が適用されます。給与・労働時間・休日は日本人と同等の条件を必ず確保してください。
住居の確保・銀行口座の開設・社会保険の加入手続きなど、生活立ち上げのサポートも必要です。登録支援機関が代行できる内容が多いため、初めて外国人材を受け入れる施設は積極的に委託を検討するといいでしょう。
外国人介護士の採用にかかる費用の目安
費用は採用ルートと手続き方法によって変わります。以下はおおよその目安です。
特定技能1号(人材紹介会社経由)の場合
人材紹介手数料
- 目安金額: 年収の15〜25%程度(成功報酬型なら内定まで0円)
在留資格申請費用
- 目安金額: 5〜10万円程度(行政書士などに依頼する場合)
登録支援機関委託費
- 目安金額: 月額2〜3万円程度
技能実習(監理団体経由)の場合
監理費
- 目安金額: 月額3〜5万円程度
送り出し機関への費用
- 目安金額: 20〜50万円程度(国・機関によって異なる)
入国後講習・住居等の初期費用
- 目安金額: 別途必要なケースあり
人材紹介会社を使う場合は、成功報酬型(内定まで費用ゼロ)かどうかの確認が重要です。初期費用なしで採用活動をスタートできれば、採用リスクを最小限に抑えられます。
外国人介護士採用でよくある失敗と対策
初めて外国人介護士を採用する施設では、いくつかの失敗が起きやすいです。事前に把握しておくことで、トラブルを避けられます。
失敗1: 在留資格の選択ミス
「特定技能1号で採用したのに、訪問介護業務に従事させたかった」というケースがあります。在留資格によって、従事できる業務の範囲は決まっています。採用を始める前に「この人材にどんな仕事をしてもらいたいのか」を明確にしておきましょう。業務内容が決まれば、自ずと使うべき在留資格も絞られます。
失敗2: 申請スケジュールの見積もりが甘い
在留資格の変更申請には1〜3か月かかります。人手不足が急迫しているからといって焦って進めると、書類不備で審査が長引くことがあります。余裕を持ったスケジュールで動くのが鉄則です。行政書士などの専門家にサポートを依頼すると、書類の精度が上がり審査もスムーズになります。
失敗3: 面接での日本語確認が不十分
書類上の日本語レベルだけで判断し、実際にコミュニケーションが取れるか確認しないまま採用してしまうケースがあります。試験合格はあくまで最低限の目安です。面接では業務に関する簡単な説明を聞いてもらうなど、実践的な確認を行いましょう。
失敗4: 入社後のサポートが手薄で早期離職
採用して終わりにすると、外国人材が職場になじめず早期離職するリスクがあります。介護専門用語の研修・生活立ち上げのサポート・日本人スタッフへの異文化理解研修など、受け入れ後の体制づくりも採用と同じくらい大切です。「人材を採用する」のではなく「一緒に働く仲間を迎える」という意識で準備しましょう。
採用後の定着支援で押さえるべきポイント
外国人介護士を採用して終わりではありません。入社後のサポート体制が定着率を大きく左右します。
介護専門用語の日本語研修
日常会話レベルのN4程度でも、バイタル測定・移乗介助・介護記録など業務で使う専門用語は別途習得が必要です。OJTと並行して介護専門の日本語研修を取り入れると、現場への定着が早まります。最初の3か月間の研修計画を事前に立てておくと効果的です。
生活面のサポート体制
住居の確保・公共料金の手続き・行政への届出など、日常生活の立ち上げには時間と手間がかかります。母国語で対応できるスタッフや登録支援機関を活用することで、外国人材の不安を和らげ定着率の向上につなげられます。
職場内コミュニケーション環境の整備
業務マニュアルへのルビ振り・申し送りテンプレートの整備・日本人スタッフへの異文化理解研修など、チーム全体でウェルカムな環境をつくることが大切です。受け入れる側の準備が整っているほど、外国人介護士が早く活躍できる職場になります。外国人材の定着は、施設全体の職場環境の改善にもつながります。
まとめ:施設に合ったルート選びが採用成功の鍵
外国人介護士の採用では、4つの在留資格の特性を正しく把握することが出発点です。
- 在留資格「介護」: 介護福祉士資格取得者。長期定着・訪問介護含む全業務に従事可能
- 特定技能1号: 3試験合格者で即戦力人材が多数。採用1〜3か月。在留通算5年の上限あり
- EPA: インドネシア・フィリピン・ベトナム限定。国家試験合格後の長期定着に強み
- 技能実習: 段階的育成型。2027年に「育成就労」への制度移行が決定済み
採用スピードと即戦力性を重視するなら特定技能1号が向いています。長期定着と業務範囲の広さを重視するなら、在留資格「介護」ルートを中心に考えるといいでしょう。費用面では成功報酬型の人材紹介会社の活用が、採用リスクを最小化する有効な手段です。
どのルートを選ぶにしても、採用後の定着支援まで含めて計画を立てることが、外国人介護士採用を本当の成功につなげる鍵です。
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電話: 03-6908-6143(受付時間: 9:00〜18:00)
外国人介護士が現場へ定着した受け入れ事例
制度や採用手順に加え、実際の介護現場でどのように受け入れたかを確認すると、準備すべきことが具体的になります。デイサービス暖団様では、ベトナム人の特定技能・介護人材を迎える前に、職員と利用者へ日越の文化差や日本語でつまずきやすい点を共有しました。入社後は段階的に担当業務を広げ、利用者との関係づくりや後輩支援も評価されています。
事例からわかるのは、採用時点の日本語力だけで定着を判断しないことです。現場への事前周知、わからない言葉を利用者や同僚が説明できる雰囲気、読み書きの継続学習、将来任せたい役割の提示を一つの受け入れ計画として設計すると、本人と既存職員の双方が成長を実感しやすくなります。
- 入社前に職員と利用者へ受け入れ方針とコミュニケーション上の配慮を共有する
- お茶出し、体操、介助など、担当業務を理解度と安全性に合わせて段階的に広げる
- 会話だけでなく、介護記録やメモの読み書きを継続的に支援する
- 後輩支援やフロアリーダーなど、将来の役割を本人と共有する
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