「人手不足をなんとかしたいけれど、外国人の採用は制度が複雑で踏み出せない」。こうした声は、介護・建設・製造業をはじめ多くの業界で聞かれますよね。特定技能制度は、まさにこの課題を解消するために2019年に創設された在留資格です。

本記事では、特定技能制度の基本的な仕組みから1号・2号の違い、対象分野、必要な試験、企業が踏むべき採用ステップまで、実務に役立つ情報をまとめました。2024年3月の閣議決定で大きく変わったポイントも反映しています。

特定技能の活用を検討中の企業担当者の方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。「結局なにから始めればいいの?」という疑問にもお答えします。

特定技能制度の概要: なぜ作られたのか

特定技能は、2019年4月の改正出入国管理法(入管法)施行によって新設された 在留資格の一つ です。制度の目的は明確で、「国内で十分な人材が確保できない産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる」ことにあります。

従来の技能実習制度が「国際貢献(技能移転)」を建前としていたのに対し、特定技能は「国内の人手不足解消」を正面から掲げた制度です。この違いは、転職の可否や在留期間の上限など実務面にも大きく影響します。

出入国在留管理庁「特定技能制度について」 によると、特定技能外国人の在留者数は年々増加しており、2024年6月末時点で約25万人を超えました。

厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」 でも、外国人労働者全体が200万人を突破したことが報告されています。特定技能はその中核を担う在留資格として成長を続けており、今後もこの流れは加速するでしょう。

特定技能と技能実習の違いを比較

特定技能を理解するうえで、技能実習制度との違いを押さえておくことが欠かせません。名前が似ているため混同されがちですが、制度の趣旨や運用ルールは大きく異なります。

| 比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |

|---|---|---|

| 制度の目的 | 国内の人手不足解消 | 技能移転による国際貢献 |

| 転職の可否 | 同一分野内で転職可 | 原則不可 |

| 雇用形態 | 受入れ企業との直接雇用 | 実習実施者のもとで実習 |

| 在留期間 | 1号: 通算5年 / 2号: 上限なし | 最長5年(1号・2号・3号) |

| 受入れ方法 | 企業が直接採用可 | 監理団体を通じた受入れが主流 |

| 家族帯同 | 2号のみ可 | 原則不可 |

最も大きな違いは「転職できるかどうか」です。技能実習では原則として実習先の変更が認められていませんが、特定技能なら同じ分野内での転職が可能です。

これは外国人材にとっては選択肢が広がるメリットがある一方、企業側からすると「せっかく育てた人材が転職してしまうかもしれない」というリスクにもなり得ます。だからこそ、適切な労働環境の整備とコミュニケーションが大切なんです。

なお、技能実習2号を良好に修了した方は、試験免除で特定技能1号に移行できます。すでに技能実習生を受け入れている企業にとっては、特定技能への移行が最もスムーズな活用方法といえるでしょう。

特定技能1号と2号の違いを比較

特定技能には「1号」と「2号」の2区分があり、求められるスキル水準や在留条件が異なります。採用計画を立てるうえで、この違いを正しく理解しておくことが重要です。

| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |

|---|---|---|

| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |

| 在留期間の上限 | 通算5年 | 上限なし(更新可) |

| 更新単位 | 1年、6か月、4か月 | 3年、1年、6か月 |

| 家族の帯同 | 原則不可 | 配偶者・子の帯同可 |

| 日本語試験 | 必要(N4以上 or JFT-Basic A2以上) | 不要(1号取得時に合格済み) |

| 技能試験 | 分野別の技能試験に合格 | より高度な分野別試験に合格 |

| 支援計画の策定 | 必要(登録支援機関に委託可) | 不要 |

| 永住申請への道 | 直接の要件にはならない | 要件を満たせば申請可能 |

| 対象分野数 | 16分野 | 11分野 |

特定技能1号のポイント

特定技能1号は、日常生活に支障のない日本語能力と、即戦力となる技能を持つ外国人材が対象です。在留期間は通算5年が上限で、更新は1年・6か月・4か月のいずれかの単位で行います。

受入れ企業(特定技能所属機関)は、外国人材に対する「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、生活オリエンテーションや相談対応などの支援を実施する義務があります。この支援は、登録支援機関に全部または一部を委託できます。

特定技能2号のポイント

特定技能2号は、1号よりも高度な技能水準が求められます。その分、在留期間の更新に上限がなく、配偶者と子どもの帯同も認められています。

将来的に永住許可の申請要件を満たす可能性もあるため、長期的なキャリア形成を考える外国人材にとって魅力的な選択肢です。企業にとっても、優秀な人材を長期間確保できるという大きなメリットがあります。

2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象分野は従来の「建設」「造船・舶用工業」の2分野から11分野へ大幅に拡大されました。介護分野は引き続き2号の対象外ですが、介護福祉士の国家資格取得による「介護」の在留資格への移行ルートが用意されています。

特定技能の対象16分野と受入れ見込み数

2024年3月29日の閣議決定により、特定技能の対象分野は従来の12分野から16分野に再編されました。一部の分野が統合・細分化されたほか、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加されています。

また、2024年度から2028年度の5年間における受入れ見込み数は合計82万人と設定されました。これは前回の5年間(34万5,150人)から大幅に引き上げられた数字であり、制度に対する期待の大きさを物語っています。

各分野の概要は以下の通りです。

| 分野 | 主な業務内容 | 2号の対象 |

|---|---|---|

| 介護 | 身体介護、付随業務 | 対象外 |

| ビルクリーニング | 建物内の清掃 | 対象 |

| 工業製品製造業 | 機械金属加工、電気電子機器組立など | 対象 |

| 建設 | 土木、建築、ライフライン・設備 | 対象 |

| 造船・舶用工業 | 溶接、仕上げ、塗装など | 対象 |

| 自動車整備 | 点検整備、分解整備 | 対象 |

| 航空 | 空港グランドハンドリング、航空機整備 | 対象 |

| 宿泊 | フロント、企画・広報、接客 | 対象 |

| 農業 | 耕種農業、畜産農業 | 対象 |

| 漁業 | 漁業、養殖業 | 対象 |

| 飲食料品製造業 | 飲食料品の製造・加工 | 対象 |

| 外食業 | 調理、接客、店舗管理 | 対象 |

| 自動車運送業 | トラック、バス、タクシーの運転業務 | 対象 |

| 鉄道 | 運転士、車掌、駅係員など | 対象 |

| 林業 | 育林、素材生産など | 対象 |

| 木材産業 | 製材、合板製造など | 対象 |

各分野の試験区分や業務範囲の詳細は、 特定技能の対象業種一覧 で解説しています。

内閣官房「特定技能の受入れに関する運用方針」 では、分野ごとの受入れ見込み数や運用要領が公開されています。自社の業種に関する最新情報を確認しておくとよいでしょう。

特定技能人材を採用するための要件と手続き

特定技能の外国人材を採用するには、外国人材側の要件と受入れ企業側の要件の両方を満たす必要があります。ここでは、実務で押さえるべきポイントを整理します。

外国人材側の要件

特定技能1号の在留資格を取得するには、原則として以下の2つの試験に合格しなければなりません。

  • 技能試験: 各分野の所管省庁が実施する分野別の技能評価試験
  • 日本語試験: 日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上

ただし、同じ分野の技能実習2号を良好に修了した場合は、両試験が免除されます。技能実習から特定技能への移行は在留資格の変更申請として手続きできるため、すでに技能実習生を受け入れている企業にとっては有力な選択肢です。

試験は国内だけでなく海外でも実施されている分野が多く、海外在住の人材を直接採用することも可能です。試験スケジュールは分野ごとに異なるので、事前の確認を忘れないようにしましょう。

受入れ企業(特定技能所属機関)の要件

受入れ企業が満たすべき主な基準は以下の通りです。

  1. 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること(日本人と同等以上の報酬、フルタイム雇用)
  2. 企業自体が適切であること(法令遵守、社会保険の加入、過去5年以内に労働関係法令違反がないなど)
  3. 外国人を支援する体制があること(支援責任者・支援担当者の選任、または登録支援機関への委託)
  4. 外国人を支援する計画が適切であること(義務的支援10項目を含む支援計画の策定)

特に「1号特定技能外国人支援計画」には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進などの支援項目が含まれます。

自社での対応が難しいと感じる企業も少なくありません。そうした場合は、登録支援機関に委託することで法的義務を果たすことができます。

採用から就労開始までの流れ

特定技能人材の採用は、大きく以下のステップで進みます。

  1. 人材の募集・選定: 求人サイト、人材紹介会社、ハローワークなどを活用
  2. 雇用契約の締結: 日本人と同等以上の報酬条件で直接雇用契約を結ぶ
  3. 支援計画の策定: 1号の場合、義務的支援10項目を含む計画を作成
  4. 在留資格の申請: 地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を提出
  5. 審査・許可: 通常1〜3か月程度(申請内容や時期により変動)
  6. 入社・支援の開始: 事前ガイダンスや生活オリエンテーションの実施

すでに日本に在留している外国人材を採用する場合は、海外からの呼び寄せと比べて手続き期間を短縮できます。 外国人を採用する具体的な流れ では、各ステップの詳細を解説していますので参考にしてください。

特定技能を活用するメリットと注意点

企業にとってのメリット

即戦力の確保: 特定技能は技能試験に合格した人材が対象のため、一定水準以上のスキルが保証されています。技能実習と異なり「人手不足の解消」が制度の目的であり、現場で即戦力として活躍できる人材を採用できます。

在日人材の活用で採用スピードが上がる: すでに日本に在留している外国人材(技能実習修了者や留学生など)を採用する場合、海外からの呼び寄せに比べて大幅に期間を短縮できます。在留資格の変更であれば、1〜2か月程度で就労開始に至るケースもあります。

直接雇用で柔軟な人材活用: 特定技能は原則として受入れ企業との直接雇用です(農業・漁業は派遣も可)。自社の就業規則に基づいて勤務体制を組めるため、シフト調整や業務内容の変更にも柔軟に対応できます。

2号への移行で長期雇用が可能: 特定技能2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、長期的な戦力として活躍してもらえます。育成した人材が5年で帰国してしまうリスクを軽減できる点は、企業にとって大きなメリットです。

注意すべきポイント

支援体制の構築が必要: 1号の場合、支援計画の策定と実施が義務付けられています。自社で対応するなら支援責任者・担当者の選任が必要です。体制構築が難しい場合は、登録支援機関への委託を検討しましょう。

転職が認められている: 特定技能は同一分野内での転職が可能です。待遇や職場環境に不満があれば、人材が他社に移ることもあり得ます。適切な労働条件の確保と、日常的なコミュニケーションによる関係構築が定着率向上の鍵です。

分野ごとの上乗せ基準がある: 建設分野では「建設特定技能受入計画」の認定が別途必要になるなど、分野によって独自の要件が設定されています。自社の業種に関する上乗せ基準は、必ず事前に確認しておきましょう。

受入れ人数の上限にも注意: 介護分野や建設分野など、一部の分野では事業所ごとの受入れ人数に上限が設けられています。採用計画を立てる際には、自社で何名まで受け入れられるのか事前にチェックすることが大切です。

特定技能における登録支援機関の役割と選び方

特定技能1号の外国人材を受け入れる場合、支援計画の策定・実施は法的義務です。この支援を代行するのが「登録支援機関」です。

登録支援機関は出入国在留管理庁に登録された法人で、以下のような支援を受入れ企業に代わって実施します。

  • 事前ガイダンスの実施
  • 出入国時の空港等への送迎
  • 住居の確保・生活に必要な契約の支援
  • 生活オリエンテーションの実施
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(雇用契約の解除時)
  • 定期的な面談の実施・行政機関への通報

登録支援機関を選ぶときのチェックポイント

登録支援機関の質は機関によって大きく異なります。選ぶ際には、以下のポイントを確認するとよいでしょう。

  • 対応分野の実績: 自社の業種での支援実績が豊富かどうか
  • 母国語対応: 外国人材の母国語でサポートできる体制があるか
  • フォロー体制: 入社後の定期面談やトラブル対応の頻度はどの程度か
  • 費用体系: 初期費用・月額費用・成功報酬など料金体系が明確か

支援の質が低いと、外国人材の不満が蓄積して早期離職につながることもあります。「安ければいい」ではなく、サポートの中身をしっかり見極めることが重要です。

ユアブライトは登録支援機関(登録番号: 19-登-000992)として、17万人以上の在日外国人材データベースから人材のご紹介から支援計画の策定・実施までをワンストップで対応しています。初期費用・運用費用0円の完全成功報酬型のため、コストを抑えて採用活動を始められます。 外国人人材紹介サービス の詳細もあわせてご覧ください。

特定技能についてよくある質問

特定技能の在留資格で転職はできますか?

はい、できます。特定技能は同一の分野内であれば転職が認められています。ただし、転職の際には在留資格の変更申請が必要です。企業としては、外国人材が長く働きたいと思える環境づくりに取り組むことが定着のポイントになります。

技能実習から特定技能への移行は可能ですか?

可能です。同じ分野の技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。在留資格の変更申請を行うことで、スムーズに特定技能1号へ移行できます。

特定技能の外国人材を受け入れるのにかかるコストはどれくらいですか?

コストは採用方法や利用する支援機関によって異なりますが、一般的には人材紹介手数料、支援委託費、ビザ申請費用などが発生します。月々の支援委託費は1人あたり2〜4万円程度が相場です。なお、ユアブライトでは内定まで費用が発生しない完全成功報酬型を採用しています。

特定技能1号から2号への移行はどうすればいいですか?

特定技能2号に移行するには、各分野で定められた、より高度な技能試験に合格する必要があります。実務経験の要件が設けられている分野もあるため、早めに移行要件を確認しておくことをおすすめします。

特定技能制度のまとめ

特定技能制度は、日本の人手不足を解消するために設けられた実践的な在留資格制度です。本記事のポイントを振り返ります。

  • 特定技能には1号と2号があり、1号は通算5年、2号は在留期間の上限なしで家族帯同も可能
  • 対象分野は16分野に拡大され、2024〜2028年度の受入れ見込み数は82万人
  • 技能実習制度とは目的が異なり、特定技能は人手不足解消を正面から掲げた制度で転職も可能
  • 外国人材は技能試験と日本語試験に合格する必要があるが、技能実習2号修了者は免除される
  • 受入れ企業は支援計画の策定が義務で、登録支援機関への委託も可能
  • 直接雇用・即戦力・長期雇用の可能性が、企業にとっての大きなメリット

特定技能制度の活用を検討しているけれど「手続きの進め方がわからない」「自社の業種で受け入れられるか確認したい」とお考えでしたら、まずは登録支援機関に相談するのがスムーズです。

ユアブライトでは、人材のご紹介から在留資格の申請サポート、入社後の母国語による定着支援まで一貫して対応しています。内定まで費用は発生しません。 お気軽にご相談ください (電話: 03-6908-6143、受付時間: 9:00〜18:00)。

この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 取締役 / 登録支援機関 実務責任者。特定技能・外国人材採用・登録支援・在留資格実務を専門領域とし、登録支援機関であるユアブライト株式会社の取締役として、外国人材紹介と受入れ支援の実務に関わっています。

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