特定技能外国人の受入れを決めた企業が次に直面するのが「登録支援機関」の問題です。「具体的に何をしてくれるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「どこに頼めばよいのか」という疑問を抱える担当者は少なくありません。

登録支援機関は、特定技能制度において法律上義務付けられた支援業務を受入れ企業に代わって実施する専門機関です。適切な機関と連携することが、採用後のコンプライアンスリスクを抑えつつ、外国人材の早期離職を防ぐ鍵になります。

本記事では、登録支援機関の法的な位置づけ・義務的支援10項目の内容・委託費用の相場・選び方のポイントを、実務担当者向けに体系的に解説します。

登録支援機関とは?特定技能制度における法的な位置づけ

登録支援機関とは、出入国在留管理庁(以下「入管庁」)に登録した法人または個人が、特定技能1号外国人を受け入れた企業(受入れ機関)に代わって支援計画の全部または一部を実施する機関です。根拠となる法令は出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の23です。

特定技能1号の在留資格では、受入れ機関が「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、適切に実施することが義務付けられています。ところが、在留手続きから日常生活の相談対応まで幅広い業務を自社だけで運用できる企業は多くありません。専門的な知識が必要な手続きや煩雑な定期届出が継続して発生するためです。そこで、支援計画の全部または一部を登録支援機関に委託する制度が設けられています。

入管庁の公表データによると、2024年10月末時点での登録支援機関の登録数は全国で7,000機関を超えています。機関の種別は行政書士事務所・社労士事務所・人材紹介会社・NPOなど多岐にわたります。 出入国在留管理庁の特定技能特設ページ では登録支援機関の検索システムも公開されており、地域・対応言語などで絞り込んで探すことができます。

なお、登録支援機関が関与するのは特定技能1号のみです。特定技能2号には支援計画の策定義務がないため、登録支援機関への委託は不要です。 在留資格の種類一覧 でも解説しているとおり、1号と2号では在留期間・家族帯同の可否・支援義務など、制度上の要件が大きく異なる点をあらかじめ把握しておくことが重要です。

登録支援機関が実施する義務的支援10項目の内容

特定技能1号外国人への支援は、法令上義務付けられた「義務的支援」と受入れ機関が任意で追加できる「任意的支援」に分かれます。登録支援機関が担う中心業務は義務的支援であり、以下の10項目が法令に定められています。

1. 事前ガイダンス

入国前または在留資格変更前に、担当業務の内容・報酬額・労働時間・住居・支援内容などを外国人本人に説明します。本人の理解を確認しながら実施する必要があり、目安は3時間程度です。外国人が理解できる言語での対応が求められます。

2. 出入国時の送迎

海外から入国する場合、空港・港から住居または職場までの送迎が義務付けられています。すでに国内に在留する人材については適用が異なりますが、支援計画への記載は必要です。

3. 住居確保・生活に必要な契約支援

安定した生活の立ち上げに向け、住居の賃貸借契約・銀行口座の開設・携帯電話の契約などをサポートします。日本語の契約書類を読み解くことが難しい外国人材にとって、母国語で対応できる担当者の存在が大きな安心感につながります。

4. 生活オリエンテーション

入国後または在留資格変更後に、8時間以上の生活オリエンテーションを実施します。公共交通機関の使い方・ゴミの分別ルール・医療機関へのアクセス・役所への届出方法など、日本での生活に必要な知識を体系的に伝えます。

5. 日本語学習機会の提供

日本語学習を希望する外国人に対して、近隣の日本語教室の案内・オンライン学習ツールの紹介・費用補助の検討などを通じて、継続的な学習機会を確保します。入社後も業務外でコミュニケーション能力を高められる環境づくりが求められます。

6. 相談・苦情対応

業務内容・職場の人間関係・生活上の困りごとなど、外国人材からの相談や苦情に対して、本人が理解できる言語で対応します。問題を早期に把握して適切に処置することが、職場への定着を左右します。

7. 日本人との交流促進

地域のボランティア活動・自治会活動・地域イベントなどへの参加を案内し、外国人材が日本社会に溶け込める機会を設けます。孤立感を防ぐことが長期的な定着率の向上にも直結します。

8. 非自発的離職時の転職支援

受入れ企業側の事情(倒産・事業縮小など)で雇用が解除される場合、外国人材が次の就労先を見つけられるよう、求人情報の提供や公的職業紹介機関への案内などを行います。

9. 定期的な面談・行政機関への通報

支援担当者は3か月に1回以上、外国人本人と上司の双方に個別面談を実施し、就労・生活状況を確認します。不正行為・強制労働・法令違反の事実を把握した場合は、入管庁をはじめとする関係機関に通報する義務があります。

10. 定期届出の作成・提出

受入れ機関は4か月に1回、支援実施状況を入管庁に報告する義務があります。この届出書類の作成・提出を登録支援機関が代行することが一般的であり、書類ミスによるコンプライアンスリスクの低減にもつながります。

登録支援機関への委託は義務か?自社実施の要件を確認する

法令上、受入れ機関は登録支援機関に支援計画の実施を「必ず委託しなければならない」わけではありません。自社で支援計画を実施することも認められています。ただし、自社実施が認められるためには次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を持つ担当者が在籍していること
  • 過去5年以内に出入国管理法令違反を理由とした在留資格取消を受けていないこと
  • 外国人材が理解できる言語で支援を実施できる体制が整っていること
  • 支援計画の適正実施に必要な社内体制および規程が整備されていること

これらの要件を満たせる企業は限られており、外国人雇用の経験が浅い中小企業においては実質的に登録支援機関への委託が必要になるケースがほとんどです。ただし、委託後も受入れ機関としての最終的な法的責任は企業側が負います。委託先機関と定期的に情報を共有し、連携体制を構築することが不可欠です。

外国人採用の流れ では採用プロセス全体を詳しく解説しています。在留資格の申請手続きから支援計画の実施まで、採用後の流れを事前に把握しておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。

登録支援機関の委託費用の相場と内訳

登録支援機関への委託費用は機関によって異なりますが、市場の一般的な相場は次のとおりです。

初期費用(契約時)

  • 相場: 3万円〜15万円(1契約あたり)
  • 主な内容: 支援計画書の作成・初期オリエンテーションの準備・契約手続き全般

月額費用(外国人材1人あたり)

  • 相場: 2万円〜5万円/月
  • 主な内容: 定期面談の実施・相談対応・生活支援・4か月ごとの定期届出書類作成代行

オプション費用

  • 相場: 都度見積もり
  • 主な内容: 在留資格の更新申請・変更申請の代行、緊急通訳対応、転職支援など

月額2万〜5万円という幅の差は、対応言語の種類・担当者の専門資格(行政書士・社労士など)・サポートの頻度と密度によって生じます。単純に低コストの機関を選ぶと、定期面談の質が低下したり、緊急時の対応が遅れたりするリスクがあります。費用対効果を意識した選定が重要です。

厚生労働省の外国人労働者の適正雇用に関するページ でも、外国人労働者の権利保護と適正な支援体制の整備が明確に求められています。費用の最小化だけを追うのではなく、外国人材の生活と権利を守る質の高い支援が、結果的に定着率の向上と企業リスクの軽減につながります。

登録支援機関の選び方:確認すべき5つのポイント

全国に7,000機関以上ある登録支援機関の中から自社に最適な機関を選ぶために、以下の5つの観点で比較検討することを推奨します。

1. 対応言語と国籍への適合性

外国人材の母国語でコミュニケーションできるかどうかは、支援の実質的な質を直接左右します。ベトナム語・インドネシア語・フィリピノ語・ミャンマー語など、採用予定の人材の国籍に対応した母国語スタッフが社内にいるかどうかを確認してください。翻訳を外注するだけの機関では、緊急時の対応速度に限界があります。

2. 対応業種と業界実績

特定技能の対象は 介護・建設・飲食料品製造など14業種 に及び、業種ごとに労働環境や必要な支援内容が大きく異なります。介護では施設ルールや利用者とのコミュニケーション配慮が求められ、建設では現場安全教育への理解が不可欠です。自社の業種で豊富な実績を持つ機関を選ぶことが大切です。

3. 支援体制の充実度と担当者の専門性

担当者1人が受け持つ外国人材の人数も重要な確認指標です。担当数が多すぎると定期面談が形式的になり、問題の早期発見が遅れます。また、行政書士・社労士が在籍しているかどうかも、在留資格更新などの手続き面での信頼性を判断する指標になります。

4. 登録番号の照合

「登録支援機関」を名乗っていても、未登録または登録取消済みの機関が存在します。委託前に必ず「登録支援機関登録番号(XX-登-XXXXXX形式)」を提示してもらい、入管庁の公式データベースで実際の登録状況を照合することを強く推奨します。照合は入管庁の特設サイトから無料で行えます。

5. 届出・手続きの代行範囲

4か月ごとの定期届出に加え、在留資格の更新申請・変更申請を代行してくれるかどうかを事前に確認しましょう。初めて特定技能外国人を受け入れる企業ほど、幅広い範囲で代行してもらえる機関を選ぶことで、事務負担とコンプライアンスリスクを同時に軽減できます。

登録支援機関と連携した特定技能採用・受入れの全体フロー

登録支援機関の役割を踏まえた上で、特定技能外国人の採用から受入れまでの全体フローを整理します。

ステップ1:求人と候補者の選定

受入れ企業が採用要件を整理し、特定技能の要件(技能評価試験・日本語試験の合格など)を満たす候補者を探します。登録支援機関が人材紹介機能を兼ねる場合は、この段階から一元的なサポートを受けることが可能です。

ステップ2:内定と支援計画の作成

内定後、登録支援機関と連携して「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。支援の種類・実施頻度・担当者情報などを記載した計画書は、在留資格申請時に入管庁へ提出する必要書類のひとつです。

ステップ3:在留資格の申請

国内の別在留資格から変更する場合は「在留資格変更許可申請」、海外から招へいする場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。申請から許可まで通常1か月〜3か月かかるため、採用スケジュールには余裕を持たせることが重要です。

ステップ4:入社・生活支援の開始

入社後、登録支援機関が事前ガイダンス・生活オリエンテーション・住居契約支援などを順次実施します。入社直後の生活立ち上げ支援が手厚いかどうかが、初期離職率に直接影響します。

ステップ5:定期面談と届出の継続

入社後も3か月に1回の定期面談、4か月に1回の定期届出が継続して発生します。これらの定常業務を登録支援機関に委託することで、人事担当者の事務負担を大幅に軽減できます。

まとめ

特定技能の登録支援機関について、本記事のポイントを整理します。

  • 登録支援機関とは、入管庁に登録した法人・個人が、特定技能1号外国人への法定支援を受入れ企業に代わって実施する機関です
  • 義務的支援は10項目あり、事前ガイダンス・生活オリエンテーション(8時間以上)・定期面談(3か月に1回以上)・定期届出(4か月に1回)などが含まれます
  • 自社での支援実施も可能ですが要件が厳しく、多くの中小企業では登録支援機関への委託が実態です
  • 委託費用の相場は月額2万〜5万円(1人あたり)で、対応言語・業種実績・支援体制の充実度で比較することが重要です
  • 機関選定では登録番号の照合を必ず行い、業種実績・母国語対応力・手続き代行範囲の広さを重視してください

ユアブライトは登録支援機関(登録番号:19-登-000992)として、採用から入社後の定着支援まで一貫してサポートしています。17万人以上の外国人材データベースから貴社の条件に合った候補者をご紹介するだけでなく、母国語対応スタッフによる継続的なフォローアップで離職リスクを低減します。初期費用・運用費用はすべて0円の成功報酬型です。

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この記事を書いた人

ヤマシタハヤト

ヤマシタハヤト

ユアブライト株式会社 取締役 / 登録支援機関 実務責任者。特定技能・外国人材採用・登録支援・在留資格実務を専門領域とし、登録支援機関であるユアブライト株式会社の取締役として、外国人材紹介と受入れ支援の実務に関わっています。

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